エストポリス伝記2

名作。以上。

うそうそ。うそです。1995年に発売されたSFCRPG、『エストポリス伝記2』。名作。

えー、これ以上ないくらいオーソドックスなRPGです。

「勇者が世界を破滅から救う」という王道すぎるストーリー。

戦闘はコマンド選択型、攻撃や魔法、防御など一般的なもの。

世界観はちょっと機械文明の混じったファンタジー、飛空艇が出てくるのもお約束。

赤髪の男主人公、幼なじみの女の子、筋肉ファイター、女魔剣士、滅法強いバカ剣士、

エルフの射手、天才科学博士、などなど仲間キャラも定番のキャラ類型ばかり。

でもね、それでも驚くほど面白いんだよ。全体の完成度が高いからですね。

要するに作り込みが本気なんだよ。この作品。

ともすれば陳腐になりがちな王道ストーリーであっても、

細かいストーリー上の演出やキャラのセリフ回し、伏線の張り方、

さらにはドットキャラの動きなどを工夫することで、いくらでも質を高められる。

笑いあり、涙ありでマジメ過ぎず、かといってふざけ過ぎず、

旅立ち、目覚め、淡い恋、犠牲、挫折、哀しみ、再起、物語で必要な要素も全部入ってる。

戦闘では、条件を満たせば発動できる特殊技でアクセントを持たせているし、

魔法のエフェクトグラフィックも結構気合入っている。

各ダンジョンにはパズル的要素の強い仕掛けがほどこされており、

爆弾やワイヤーフック、弓矢といったダンジョン専用グッズを使って、

ゼルダの伝説』のような謎ときを楽しめる。

戦闘バランスも良好で、そこそこのザコ敵と戦っていけば、

各地のボスとは手に汗握る戦いができるように調整されてるのがエライ。

ちなみに、上記のダンジョン専用グッズをうまく使うとザコ戦が回避できるという

面倒くさがりな人にはありがたいシステム。

UIやシステム面も申し分なく、バグやイライラする仕様も見当たらない。

音楽? 最高。最高すぎる。マジで。

これらの本編に関わる要素とははまったく無関係に

・お宝収集が楽しめるランダムダンジョン「古の洞窟」(地下99階、激強ボス付き)

・ランダムで行動するサブキャラ「カプセルモンスター」の存在

 (複数のタイプがおり育成&成長要素もある)

・レアな収集アイテムと、そのご褒美である裏ボス(ラスボスより強い)

などまで備えているんだから。いったいどれだけ詰め込んだのか。

クリア後のおまけ要素もあり、2周目のやり込み可というのも、

この時代の作品としては意欲的。3週目は「古の洞窟」だけに挑戦できるのもグッド。

とにかく全方位的にスキがなく、あらゆる要素が高レベルでまとまってるのがスゴイ。

「入り口は広く、奥は深く」というゲームに大切なことを実現させている。

いやあ、これぞJRPGですよ。

ゲームのクオリティに反してあまり知名度がないのは、

本作の発売から半月後に、あの『クロノ・トリガー』発売を控えていたからですけど、

それでも本作に触れた人は、例外なく、その品質を高く評価している。

今でもこの作品のファンという人は多い。

レトロゲーに抵抗のない人、

かつスクウェアエニックスRPGしかプレイしたことのない人にオススメ。

まさに5つ星、ええい10つ星くらい持ってけ!

なお、タイトルに『2』とありますが、

独立したストーリーなので、前作を未プレイでもまったく無問題です。

あとニンテンドーDSでリメイクされていますが、完全な別物なので要注意。

おまけ。作中のボス戦BGM「バトル#2」。

テンションの上がる大大大名曲。もちろんサントラのCDも買いました。

ああ、戦闘を終えたくなくなるほど最高だ。

しかし、いやー、『エナジーブレイカー』といい『カオスシード』といい、

このころのネバーランドカンパニーは神がかってたなー。