読めよぉー。(´;ω;`)

あとプレイしたり、観たりしろよ。アメコミ翻訳はじめました。

王様はロバ―はったり帝国の逆襲

週刊少年ジャンプの何がスゴイって、そのフトコロの広さでしょう。 といっても、海賊王になるなる詐欺のワンピとか、ザ・ヒラキナオリーズのハンタとか、もういいだろ筆頭候補のこち亀とか、そういうアレの話ではありません。時として、わりとアグレッシヴな漫画を連載する、その編集方針のことです。
宇宙の深淵がのぞける(ホントだよ)諸星大二郎先生の『暗黒神話』とか、「外道~~~!!」でお馴染みの『ブラック・エンジェルズ』、漫画史上初といわれる料理漫画の『包丁人味平』まで、今の判断からしても、濃いっつーか、いろいろ“攻めてる”漫画が掲載されてたんです。  
特にギャグ漫画のオリジナリティは、週刊少年チャンピオンにも引けを取らない。トイレット博士』、『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』、セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』など、一時代を築いた作品もあります。
で、そんな意欲作の多い少年ジャンプのギャグ漫画の中で、94年から2年以上にわたって巻末を彩り続けたのが、はい、今回の取り上げる『王様はロバ―はったり帝国の逆襲』です。作者は なにわ小吉  
オムニバス形式(たまに続きものもある)、毎回7ページのショートギャグ漫画で、ものすごくクダラナイ(ホメ言葉)思いつきをそのまま漫画にしたような作風が持ち味。「催眠術師vs催眠術師で催眠術勝負やってみた」とか、「いろんな条件から神様の本当の姿を考えてみる」とか、「マラソンで3位のやつに罰ゲームってなったらどうなる」とかね。
あと、作者が勝手に考えた謎の遊びシリーズ。将来の夢をあきらめたら鬼からタッチされる「夢おにごっこ」とか、夫婦ゲンカするとジョーカー君を居候させられる「夫婦ゲンカおにごっこ」とか、モノや事柄に関する思い出を連想させていく「思い出しりとり」とかね。  
この他にも、集団シンデレラや集団桃太郎といった“集団”シリーズ、原始人たちのいろんな“初めて”を考察する原始人シリーズ、「こんなものあったらな」を無理やり形にしてみる“発案”シリーズなどなど。「もしこれが~~だったら?」という着想やワン・アイデアを計算しながら転がしていって、雪だるま式に笑いに転換させるのが上手いんだろうなと思う。
ビジュアルの奇抜さや話のイキオイよりも、発想の鋭さで笑いをとるタイプであり、もともとラジオのハガキ職人をやっていたという作者の素質がうかがえます。  
まあこれだけなら「とても面白いギャグ漫画」ってことで終わるんだろうけど、恐ろしいことに、少年ジャンプ連載作としてはありえないくらいにキャラが立ってない。少年ジャンプにおける普遍の真理とは、「まずキャラを立たせろ」であり、活き活きとしたキャラ、ユニークなキャラがあって初めて掲載を許される……。そんな雰囲気さえあるのが、少年ジャンプなわけです。
それなのに、本当、ビックリするくらいキャラが立ってない。グッズ展開とかゲーム化とか、絶対できない。アニメ化は……無理ダナ。 ちょっと考えればわかるけど、作者の思いつきがネタの根っこにあるってことは、登場人物は基本的に全員モブ、“名無し”でOKなんだよね。実際、固有名詞が設定された登場人物は数えるくらいしか登場しないし、たまに登場したとしても、便宜上、区別のために名づけられることがほとんど。これで連載を許されてたってのは、ある意味で驚愕するわ。たまにこういうことをするからジャンプの編集部は恐ろしいよね。 いや、ひょっとするとこれは、「キャラ立ちが絶対基準である少年ジャンプにおいて、あえてキャラ立ちしていないギャグ漫画を載せる」という壮大なメタ的ギャグだったのかもしれない。たぶん。知らんけど。  
何にせよ、こうしたギャグ漫画が2年以上にわたって少年ジャンプに掲載されたのは、それだけで何となく笑える。しかも90年代中期という激動期にね。現在、作者のなにわ小吉週刊少年サンデーSにて『はるまげ』を連載中。今年(2012年)6月に単行本1巻が刊行されたので、そのうち買ってみたいと思います。時代を席巻とまではいかなかったけど、確実に少年ジャンプのギャグ漫画史に残るであろう、そんな秀作。