∀ガンダム(1)

刻(とき)が未来にすすむとぉーーー  ん誰が決めたぁんだぁー!

烙印を消す命がぁーー 歴史をかきなおすぅ~~♪



と、ゆーーわけでーーー、栄えある100作品目の紹介は、アニメ『∀ガンダム』。
せっかくの100作品目なので、今回は2回に分けて更新したいと思います。

初代ガンダムもZもZZも、逆シャアも観たことない、
VやらGやらWやらSEEDやらも観たことない。(Gガンはちょっとだけ観たかな)
だけど大まかなストーリーと大まかな登場機体は知っている。

そんな半可通が、なぜターンエーだけ観ているか。
しかもDVDボックスまで買って。

ひとつは「ストーリーとして完全に独立している」ということ。
つまり、いつ、誰が観るとしてもゼロからスタートできるから、半可通にも優しい。

もひとつは、制作側が本作を
「普通の人(=いわゆるオタクではない人)を相手にしている」と語っているから。
Wikipediaの当該ページ参照のこと)
つまり、別にガンダムオタクでなくても問題なく観られるであろうとの期待があった。

で、最後は、∀ガンダム自体のルックスがイケてるから。
いやー、あのデザインが発表された当時の、ガノタの驚きだけは覚えてますよ。
でも「ダサイ」「ありえない」と言われれば言われるほど興味がわくのが、
ボク様みたいな天の邪鬼のサガってやつでして、どうも、へへへ。

あん時は実家暮らしだったしベンキョーに忙しかったので、結局観てないんですが、
ひとり暮らし初めて時間に余裕ができるようになって観たんですわ。

で、これがエライ面白かった。

あらすじはこうです。

   *   *   *

若き青年、ロラン・セアックは、鉱山業を営むハイム家の使用人。
彼は、とある事情を抱えているのだが、
持ち前の明るさと人柄のよさで、ハイム家の人々からも信頼されるまでになる。

使用人として仕えて2年後、ロランはハイム家の次女、ソシエと成人の儀式に参加する。
儀式の場には、ホワイト・ドールと呼ばれる巨大な石像があった。

時を同じくして、月にいる民「ムーンレイス」と地球側の交渉が決裂。
ムーンレイスらが穏便に地球に帰還する道がとざされてしまい、
月の女王ディアナ・ソレルの私立部隊ディアナ・カウンターが地球帰還作戦を開始した。

ディアナ・カウンターの操る巨大なモビルスーツに対し、
複葉機や大砲といった旧式兵器しか持たない地球軍は全く相手にならない。

しかしディアナ・カウンターの放ったビーム砲が、ホワイト・ドールを目覚めさせる!
なりゆきでホワイト・ドールに乗り込んだロランは、
その機体を駆って月と地球との争いに巻き込まれていくことに……。

   *   *   *

これまでのガンダム作品と違って、
地球側の舞台は19世紀末~20世紀初頭のアメリカあたりがモデルとなってます。
なので、全体的に牧歌的というか、『世界名作劇場』のような大らかな雰囲気が特徴。

戦闘シーンよりも政治的な駆け引きや人間同士のやりとりのほうが強調されており、
モビルスーツのパイロットであるロランよりも、
政治家や新興貴族、スパイ、民間人たちの活躍のほうが目立つこともあるほど。
そういう意味ではガンダムらしくない作品ということができそう。

じゃあ富野お得意の人死にはないのかというと、これがちゃんと(?)ある。
なんだかんだ言って、本作のメインストーリーは
「地球に帰還したい月の民 vs それを安易に認められない地球民」の戦争であり、
要所要所ではエグいシーンも悲しいシーンも、恐ろしいシーンも描かれる。
全体的な雰囲気とシーン描写が牧歌的なだけに、このギャップはけっこう辛い。

で、いざ戦闘シーンとなると、これが見事に動く。
ターンエーは、もともと遺跡として封印されていたという設定なので、
ビームライフルなんかの遠距離兵器よりも、近接兵器での戦闘がメインになってる。
そのため、殴ったり蹴ったり、ビームサーベルで斬ったりと、
“銃で構えて撃つ”だけよりも大きくアクションを見せてくれます。

また、富野御大が総監督として指揮をとっているだけあって、
登場するキャラクターは総じて人間臭く、なまなましい。
特にセリフが非常に印象的で、脚本家が“しゃべらせた”ようなセリフは滅多にない。
なんというか、キャラクターが自分の言葉で話している。

また、いかにも“アニメ的”な──もっといえば典型的な人物設定のキャラはおらず、
複数のキャラクターがそれぞれの思惑で動いているのもグッド。

表現しにくいんだけどさ、絵にかいたようなライバルキャラとか、
絵にかいたようなお色気キャラとか、ミステリアスなヤツとか、そういうのいるじゃん。
ストーリー展開上必要だから出てきましたーみたいな、使い捨てのキャラ。
そういうのがいないんだよね、ターンエーは。(というか富野の作品は)

テーマ性も高く、最終的にすべてのガンダム作品を包括するという
本作の立ち位置がしっかりと描かれています。

ネタバレを避けるためにあえて詳しくは語りませんが、第8話の「ローラの牛」は、
すべてのガンダムファンおよびアニメファンが見るべき。いわゆる神回。
ここで語られるロランの姿こそが、
おそらく富野御大が描きたかったガンダムパイロットなのではないかと。
この作品が最後に来るのなら、これから先どんなガンダムが出てきても安心できる。

作画の質も高く、声優さんたちの演技も素晴らしい。
お気に入りはロラン役の朴ロ美、ソシエ役の村田秋乃
そしてギンガナム役の子安武人です。(月光蝶であるっっっ!!!!)
菅野よう子が奏でる劇中音楽もベストマッチ。もちろんサントラCDも買いました。

全50話あり、途中、「あれ? これいるか?」って思いそうなエピソードもあるけど、
後から考えたらちゃんと必要だと思えるので、ぜひDVDボックスで全部観てほしい。
ガンダムという枠を超えて、アニメ作品として長く語り継ぎたい作品。10つ星。

2回目の更新は、最萌えキャラであるソシエ嬢について語るよ! お楽しみに!