PEACH!!

やあ、食べ物が美味しい季節ですね。
(年がら年中、何食っても割と美味いですが)

食べ物が美味いと酒も美味い。仕事がまとめて数日休みなら無問題。
かつまた上げ膳据え膳なら、そりゃもう言うことナッシング。

ひと言でいやあ温泉行きてえよなって話。

そんな人類の温泉欲を満たすのが、川島よしおPEACH!!』。

東北のどこかにあるという旅館「桃の湯」。
そこは女将から従業員までがうら若き乙女たちという秘湯中の秘湯です。
ただし実態は女子高生の部活。

そんな「桃の湯」を切り盛りする広能と武田と、
常連客である岩井&相原のOLコンビが、
食べたり飲んだり、もてなしたりもてなされたりする4コマ漫画です。

全体を導くようなストーリーは特になく、
温泉(とその周辺)をテーマにゆったりまったりしてるだけ。
食べ物や風物詩に関するうんちくを時おり挟みつつ、
田舎の旅館に独特の、肩の力が自然と抜けるような空気が展開される。

食べ物の描写がやたらと上手いのも特長。
特にマグロ、カツオ、サンマ、カニ、エビ、アワビといった
生鮮魚介類の描写の秀逸さは、魚屋勤めの経験もある川島よしおならでは。

鍋ものが登場することも多々あって、これがまあ食欲をそそる。
屋台の焼きソバや給食のカレー、スパゲティミートソースなど
“たまに食べたくなるもの”が出てくるのもニクイ。

なんか食べ物の話ばっかりですが、実際そうなんだから仕方ない。
といっても漫画としてつまらないわけじゃなく、
オチの余韻やとぼけた会話を気楽に楽しめる4コマ漫画となってます。

でもそれでいーのです。それがいーのです。

ストーリーも追わない、アクションもスリルもサスペンスもない。
ひたすらまったり気分で食べて飲んでくつろいでいるんだから、
ある意味でスゲー贅沢な漫画だし、それを読むのも贅沢な読書体験。
肩ひじ張らず、休暇気分で読みたい1冊。