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読めよぉー。(´;ω;`)

あとプレイしたり、観たりしろよ。アメコミ翻訳はじめました。

Fables vol.1 "Legends in Exile" (翻訳その5)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたファンタジーコミックです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

<チャプター3:血は語る>

<ローズ・レッドが以前(おそらく)住んでいたグリーンウィッチ・ヴィレッジアパートメント>

【ウッドランド・ラグジュアリー・アパートの清掃員と、ブルーボーイが部屋の中で何やら作業をしている】

フライキャッチャー(清掃員)「これが最後の荷物だよ。もう帰っていいのかい?」

※フライキャッチャーはあだ名。本名はアンブローズ。おとぎ話「カエルの王子様」にてカエルに変えられた王子様。

ビグビー「そうはいかん。このガラクタをここまで運んできたのは第一段階だ。お前たちの仕事は始まったばかりだぞ」

ビグビー「調査の最大の難問は、俺自身、生きた女性を探しているのか、死体を探しているのかわかっていないことだ。どちらかに決めるためには、血痕を再現してみるしかない。今日、お前達2人にはそれをやってもらいたい」

フライキャッチャー「オーケー、名探偵さん」

ビグビー「この部屋はローズ・レッドの部屋の真下にある。間取りも彼女の部屋と一緒だ」

ビグビー「まずは、このガラクタどもをできるだけ彼女の部屋のレイアウトとそっくりにセットしてくれ。そのあとはお楽しみだぞ、めちゃくちゃに散らかしてくれ」

【医療用輸血パックを手にして2人に説明するビグビー】

ビグビー「用意された輸血パックを使って、上の部屋と同じように飛び散った血のパターンを再現するんだ」

フライキャッチャー「クール!」

【血を部屋にまき散らすフライキャッチャーとブルーボーイ】

<ビグビー「ローズの部屋と同じシーンを作るのに、どれだけの輸血パックを使ったか正確に数えておけ。そうすれば、どれだけの量の血がまき散らされたかわかる。実際の犯行現場を撮影した写真を使い、可能な限り正確に再現するんだ。どうしてもというのであれば、上の階に行って現場を確認してもいい。ただし、どんな証拠も絶対に踏み荒らすなよ。それじゃあ“こっち側”の人間に何も目撃されないように、あと仕事のあと鍵をかけ忘れないように祈ってるぞ」>

【写真を見ながらフライキャッチャーに指示するブルーボーイ】

ブルーボーイ「もうちょっと棚の下の方だよ、フライキャッチャー」

<ビグビー「それとブルーボーイは、仕事が終わったら俺のオフィスに電話してくれ」>

【場面転換。大きなビルの最上階】

<アッパーウエストサイドのウッドランド・ビル>

スノウ「お呼びですか、市長」

<フェイブルタウンの非公式市長であるコール老王のペントハウス

【白髪で割腹の良い老年の男性がスノウを出迎える】

コール老王「私と2人きりのときは、かしこまる必要はないのだよ、スノウ。入りなさい」

スノウ「ありがとうございます。今朝はどんな御用で?」

コール老王「君の妹についての不運な現状を憂慮しておるんだよ。悲劇的な、実に悲しい事態だ。ビグビーの捜査を補佐しているのだろう」

スノウ「はい。通常の捜査方法ではないとわかっているのですが、このケースでは私が補佐するのがふさわしいかと。何しろ彼女は私の…」

コール老王「もちろん分かっておる。そのことについては何の問題もない。血族の者はお互いに助け合わなければならないからな。他の問題なぞ少しばかり先送りにしてもいいくらいだ。ただ…」

スノウ「市長?」

コール老王「昨晩、電話があったのだよ。電話というか、苦情だ、青髭だよ。コミュニティーのリーダー格であり、毎年の高額寄付者。君とウルフ氏が家に押しかけ、彼を殺人者だと告発し、わめき叫んだことに関して、苦情を言ってきた」

スノウ「正確に言えば、私たちは押しかけたりしていません。青髭はわれわれを招き入れたんです。しかし、事実の部分もありますね。ビグビーは確かに彼を殺人で告発しました、かなり乱暴に」

コール老王「なぜだね?」

スノウ「わかりません。あれはあまりにも突然の告発でした。実際、同様のことをジャックにもしています。私が見る限り、彼の単独調査の戦略は、容疑者から容疑者へと渡り歩いて、彼らを告発することで成り立っているように思えます」

【朝食が用意された大きなテーブルに腰掛ける老王】

コール老王「彼は望み薄だと考えるかね? 彼はホームランドでは捜査官ではなかった。最も手に負えない野獣、殺し屋だった。この仕事は彼の手に余るのかね?」

スノウ「誰がそんな事を? 彼の改心は皆にとってお手本だったんですよ。『大赦』以降、彼は潔白です。それに私は彼の働きを公平に評価できるほど、捜査官の仕事に精通しているわけではありません」

【回想シーンへ】

<スノウ「これまで、多少の差こそあれ、ジャックとは規則にのっとって話をしてきました。彼はローズのボーイフレンドですから、被疑者として選ばれる明白な理由がありました」>

回想シーンのジャック「俺は無罪だ!」

<スノウ「彼はローズの失踪について何も知らないと訴えましたが、私には確信がありません。彼は時には…あるいはいつでもチンピラですから。今のところ、ビグビーは彼を留置所に留まらせています」>

回想シーンのビグビー「今回、お前は恐らく何もしていない。しかしお前が潔白だということでは決してないぞ」

<スノウ「そして私たちは青髭を尋問しました。それでどうなったかはお聞きしている通りです。私の推測では、ビグビーは青髭の傲慢さにゆすぶりをかけるため彼を告発したんだと思います。青髭のえらぶったポーズは、いつも我々を下級官吏のように思わせてきましたから」>

回想シーンの青髭「よくもそんな事が言えるな!」

回想シーンのビグビー「クソッたれが!」

<スノウ「ビグビーの試みは成功しました。昨年の記念集会のすぐあと、ローズと婚約したことを証明しているらしい書類を見せたことは驚きでした。あれが偽造であってほしいと願うばかりですよ。『大赦』があってもなくても、彼の亡き妻たちに起きたことは容易には忘れられませんからね」>

回想シーンの青髭「婚約して幸せの中にいたのに、なぜ私が彼女を殺さなきゃならんのだ!」

<スノウ「私たちの仮説はこうです。ローズがジャックの元へ戻ったので、青髭は嫉妬に駆られ、自分の十八番である凶行をローズに行った…」>

スノウ「ですが、このシナリオには問題もあります。彼の手口では、彼が妻たちを殺害したのは、ウェディングの『直後』、結婚式のその夜だけなんです」

<スノウ「その後、我々は“黒の森”の魔女の元を訪れました」>

【回想シーン。編み物をしているメガネをかけた品の良い老婆】

“黒の森”の魔女「私は元気よ、老オオカミさん

※“黒の森”の魔女は、さまざまなおとぎ話に登場する“悪い魔女”の象徴的キャラクター。Fablesでの本名はフラウ・トーテンキンダー。

ビグビー「ああ、この街に来てから、あんたの犯罪記録はきれいなもんだよ」

ビグビー「しかし、あんたが昔の食習慣を取り戻していないなんて、驚かざるをえないな。ジンジャークッキーには飽きたんじゃないか?」

<スノウ「そして夜には、私の元旦那のプリンス・チャーミングをブランストック・ターバンでつかまえました。ビグビーは彼を部屋の脇に連れて行ったので、会話はよく聴こえなかったんですが、気さくな感じには見えませんでしたわ」>

※ブランストック・ターバンは、おそらく作中のカフェバーの店名。

【薄暗い店内のすみのほうで話すビグビーとプリンス・チャーミング】

ビグビー「ローズと寝ているところをスノウに見られて以来、お前の勝手気ままな生き方は悪くなる一方だな」

ビグビー「お前は、自分自身で責任を取ろうとするには余りにもナルシストなバカ野郎だ。それはは分かるよな。それがどんな失敗であってもだ。だからローズに責任転嫁したのか? 何年も彼女に対する恨みを積もらせていたんじゃないのか?」

ビグビー「彼女はあんたが街に戻ってきてから数日後に失踪しているんだ。大した偶然の一致じゃないか、なあ?」

プリンス「君は取るに足らない小男のようだ。それと、もっと頻繁に風呂に入ったほうがいいぞ」

スノウ「遅かれ早かれ、ビグビーが私をも容疑者だと検討していることは、老王のお耳に入ったでしょう。昨夜遅く、彼は私の取り調べを行いました」

<スノウ「彼が事件にどういう判断を下すのか、私にはわかりません」>

【再び回想シーン。スノウとビグビーが玄関前に腰掛けて会話している】

ビグビー「君と君の妹は、長い間不仲だったな」

スノウ「そのことは、何年も前から周知の事実よ。私がローズを殺したいほど憎んでいるとして、どうして今まで行動を起こさなかったの?」

ビグビー「なぜなら君がフェイブルタウンのナンバー2になり、周囲ににらみを利かせることができるようになったのは、ごく最近のことだからだ」

ビグビー「俺の行動に対抗するため、君は自分自身で調査に首を突っ込んだ。もし俺が事実に近づきすぎれば、俺をクビにするだけの権限もある。犯人が持つアドバンテージとしては悪くない」

スノウ「そのとおりね。私が誰かを殺しそうになったときのために、そのことは覚えておくわ」

【ゴブリンやオーガのような悪鬼が動物たちを追いやっている絵】

<スノウ「最後に彼は、ホームランドに攻め込んだ“敵勢力”のことを覚えておくべきだと言いました。奴らのフェイブル界への血なまぐさい侵攻は、我々の一部が現実世界に逃げ出せた後でも、おそらく終わっていないのだと。そして、奴らの斥候の何人かは、戦争を続けるために我々と一緒に現実世界までついてきているんじゃないか、と」>

コール老王「よくない事態だ、ミス・ホワイト。熟慮を要するほどに。しかしそのような悲劇に直面しつつも、まだわれわれには他の検討課題まである」

コール老王「記念集会の日が間近だ。そのことも考えておかねばなるまい? そのときまでにこのゴタゴタは解決できているだろうか」

スノウ「何とも言えません…」

【朝食を食べながらスノウに語りかける老王】

コール老王「フェイブルタウンは、私と君とが初めて責任を負う共同体だ。我々の双肩にかかっている。それは崇高な試みでもあるが、もろく壊れやすく、弱々しくもある。たくさんの要素と膨大な古き怨恨から成る共同体だ」

コール老王「この事件によって容易にバラバラになりうる」

スノウ「それは理解しています、市長、しかし…」

コール老王「記念集会の日は大規模なパーティーだ。その日は、来年の運営予算となる寄付金の大部分を得る日でもある。そして我々政府は、信任を失うギリギリまで財布のひもは締めなければいけない。わかるね?」

スノウ「そのように理解しています」

コール老王「そうだろうとも。君はものの道理がわかっている。賢く有能だ。必要なことは遠慮なく実行しなさい。だが、催しの日までは隠密にな」

【場面転換。青髭の自宅。反身のナイフを研ぎ、内ポケットにしまう青髭

青髭「準備よし。トレーを!」

【トロルの執事が料理に使うようなトレーを青髭に手渡す】

青髭「よし、ありがとう。ではドアを開けてもらえるか?」

トロルの執事「よい狩りを、サー」

【場面転換。スノウのオフィスに、ビグビーがパソコン一式を抱えてやってくる】

ビグビー「コール王には驚かされるよ。事件解決のプレッシャーに押しつぶされる前に、なんと2日間も猶予をくれるなんてな!」

スノウ「それどこで手に入れたの」

ビグビー「ジャックのアパートだよ。そこの調査を終えたばかりだ。パソコンだらけの部屋で、少なくとも6台はシステムが生きていた。1台拝借してきたんで、中身を調べてくれ。ジャックがこいつで何をしていたか、たぶんわかるだろう」

スノウ「なんで私が? あなたがやればいいじゃない」

ビグビー「なぜって俺はこいつらを使えないからさ。機械どもは俺を嫌ってるんだ。俺は生まれついてのラッダイトだし、家のトースターより複雑なものは操作できん」

スノウ「で、私が“あなたの”ために“あなたの”仕事をしている間、“あなたは”何をするつもりなの?」

ビグビー「あれやこれやだ。そろそろジャックの昼食なんで、様子を見てくる。あとは解明に向けて、いくつかやっかいな事柄を把握しておきたいこともあるんでな」

スノウ「それって事件はほとんど解決できたってこと?」

ビグビー「ああ。大部分は最初から解決済みだよ。“何が”起きたかはかなり判明している。“どう”起きたのかも、大部分は判明した。だが“誰が”“なぜ”事件を起こしたかを知るには、いくつかのことが不足しているな」

スノウ「で、正確にはいつ私に手がかりを示してくれるわけ?」

ビグビー「このミステリーにおいて、君が悪役じゃないということを俺に納得させたその時さ」

スノウ「せめてローズの生死だけでも教えて」

ビグビー「どうだかな」

【スノウ、涙を浮かべて怒鳴る】

スノウ「イラつかせないでよ、クソッタレ(Son of a bitch)!」

ビグビー「文字通りな。だが俺の場合、そのビッチは俺を愛してくれたし、育ててくれたぜ。子供にとっては最高の母親だった」

ビグビー「で、次はいつプリンス・チャーミングと会うつもりだ?」

スノウ「会うことがなければ最高ね。どうして?」

ビグビー「彼が称号を売るのを手助けしてやってほしい。ただし、彼が思い描いているやり方ではないがね」

スノウ「どうしてそれが気になるの? 何をするつもり?」

【スノウのオフィスから出ていくビグビー】

ビグビー「“起こり得そうもない完璧な計画”ってのは、まさに物事が終わろうとする寸前に、血を流すこともなく実現するんだ。その過程でフェイブルズの共同体が崩壊することは、多分ないだろう。が、機能しなくなることはありえる」