Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その5)
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Bill Willingham
Vertigo
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※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
ダン「すぐにその首を下ろせ」
【木の棒の上にさらし首になっているコリンの生首。小さな小鬼のようなキャラが、それを棒の上から下ろしている】
【目に涙を浮かべながら話すローズ】
ローズ「誰がやったの、ダン」
ダン「わかりません、ミス・レッド」
スノウ「どうして知らないの? 昨晩、あなたとポージーのところに彼を残しときは、何もなかったじゃない」
ダン「昨晩は早く寝たんですよ、あなたたちが出て行ったすぐあとにね。彼はあなたたちのあとを追って出て行ったに違いない。知ってるでしょう、コリンはいつも刺激を求めて外をうろつく…もとい、うろついていたんです」
ローズ「何か重要なものを見つけてしまったんだわ」
スノウ「彼を監視しておくべきだったわね」
【スノウと一緒に現場を離れるダン】
ダン「どうして? ここファームでは、私たちはそんなことしません。あなたたちと違って、我々は夜でもドアに鍵をかけないし、みんなの仕事に首を突っ込むビグビー・ウルフみたいな人物も必要としていません」
スノウ「今はやるべきね。調査のために彼を呼ぶわ」
ダン「暴動を避けたいのなら、それはやめておくべきですよ」
【ファーム内を歩きながら話すスノウとダン。道のそばでは子供たちがボール遊びをしているので、人間も一定数住んでいると思われる】
ダン「杓子定規なお姫様に思い出していただきたいが、郊外のフェイブルタウンには、ビグビーの醜い鼻づらを見なくて済むという保証が与えられてるんです。決して見なくていい特権がね」
ダン「みんなのために何かしたいのであれば、ビグビーと一緒に街で見つけておくべきだったんですよ」
スノウ「なら、私たちはこの問題で何をすればいいのよ」
ダン「何も。ただし、ファームのリーダーに選ばれた義務として、そしてウェイランド・スミスの跡継ぎとして、私は自分で調査の指揮を執るつもりです。何か助けが必要であれば、誰であっても私が代行を任命します、私が皆に任命されたようにね」
スノウ「ナンセンスね。あなたに調査はできないわ。この事件にじかに関わりすぎているもの。私自身、この数週間でビグビーから十分に学んだわ、あなたとポージーは第一容疑者よ」
ダン「ご自分の立場もそうなのでは、お嬢さん」
スノウ「それと、ウェイランド・スミスに何が起きたの? あなたはまだ確かな説明をしていないわ」
ダン「でしょうな。彼は辞職しました。彼はこの土地を決して好まなかった。そのことに気付いたんじゃないでしょうかね」
ダン「スミスは完全な人間タイプのフェイブルです。ファームの監督者として彼が選ばれたことは、まったくもって屈辱でした。あなたがた都会のフェイブルズがここに住む私たちを二級市民と見なしていることを、彼はいつも思い出させてくれましたから」
スノウ「バカなこと言わないで。ウェイランドは、単にここの仕事に最適な人だから選ばれたのよ」
ダン「その通り、最適な人でしょうとも。ベストなブタでも、ヤギでも、ウシでも、ドラゴンでもなくね」
【場面転換。コリンの死体の発見場所。死体は手押し車に乗せられ、メガネをかけたクマによって運ばれていった】
ローズ「彼の残りの遺体は見つけた?」
ポージー「まだです。が、みんなを探しにやっています。その間に少々お話したいのですが」
ローズ「何の話?」
ポージー「昨晩の話し合いの間、あなたが我々の主張にシンパシーを抱いているように感じました。魔王軍がホームランドの支配を続ける分、私たちは決して安全にも、自由にもなれません」
ローズ「そうね。でも何ができるのよ?」
ポージー「われらの土地は力づくで奪われました。同じように奪い返せるはずです」
ローズ「スノウは不可能だって言うでしょうね。同意するのは癪だけど、この件に関してはそう思わざるをえないわ。農場の動物たちに少しばかりの巨人やトロルや獣たちを加えたところで、魔王とその大軍相手にどんなチャンスがあるって言うの?」
ポージー「まさにその問題のために活動してきましたし、すでに解決済みだと確信していますよ。ついてきてください。クールなものをお見せしましょう」