Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その17)
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Bill Willingham
Vertigo
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※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
<処刑の日の翌日>
【車いすに乗ったまま、救急車で退院するスノウ。ビグビーが付き添っている。外では雪が降りつもっている】
スノウ「ファームのみんなは処刑執行をどう受け止めたの?」
ビグビー「優先事項かつ必要なことだと考えたようだな」
ビグビー「時間はかかるが、いずれファームも元通りになるだろう」
スノウ「いつかはね」
ビグビー「元に戻るさ。俺たちみたいな半不死者の利点は、結局は大抵のことを調節しながら受け入れられるってことだ」
※フェイブルズは同じ姿で何世紀も生き続けている。殺されたりしない限り、ほぼ不死であるらしい。
スノウ「そう思うわ。それとあなたが、ある話題を避けようとしているとも感じるわよ」
ビグビー「何のことだ?」
スノウ「分かってるのよ。私が回復して自分から察するまで、ローズの話題は避けていたんでしょう?」
【救急車はフェイブルタウンのビルの前で停車した。昇降機を使って救急車から下ろされる車いすのスノウ。ビルの前には仲間のフェイブルズたちが集まっている】
スノウ「妹はいつ処刑台に送られるの? それとももう処刑されたのかしら?」
ビグビー「何を言ってるんだよ」
群衆「おかえり、スノウ」「気分はどうだい」「仕事はいつから?」「家賃について交渉したいんだが…」
スノウ「途中参加とはいえ、あの子は革命の首謀者に加わったのよ。あの子は…」
ビグビー「おいおい、冗談だろ」
【車いすを押し、スノウとビルの中へ入るビグビー】
ビグビー「彼女が何をして、何が起きたのか、ホントに知らないのか?」
スノウ「知らないわ。あの子、何も言わないんだもの。説明してもらう必要がありそうね」
ドアマンのジョン「お帰りなさい、ミス・ホワイト。この数か月間、寂しかったですよ」
ビグビー「彼女が君の命を救ったことを何も知らないわけか」
スノウ「なんですって?」
ビグビー「ローズからの聞き取り調査で分かったことだがね。革命派はコリンを殺害後、外部に連絡を取ろうとした君を殺すつもりだったんだよ。無論、その次はローズ自身が殺されるのは明白だった。君は、あの晩を生き延びられないはずだったんだ」
ビグビー「だから彼女は、自分が革命派に共感を覚えていると説得したんだ。そして不本意ながら革命軍に加わった、君を即座に殺させないとう条件付きでね」
スノウ「なるほど、そんなことを言っていたわね。でも私は…」
ビグビー「彼女は君が苦境に陥っていたときに、十分な時間稼ぎをしていたんだぞ」
スノウ「そうね、愚か者は私だわ。本当に知らなかったのよ…」
【年が明け、春になった。ウェイランドがフェイブルタウンのビルまでやって来る】
ドアマンのジョン「ウェイランド・スミス様、ファームからお越しになるのは、この春初めてのことですな。今日は予想もしない訪問が2人もありましてね」
ウェイランド「やあ、ジョン。すこれは誰にでも予想できたことだよ。スノウ・ホワイトに呼び出されたんだ。ファームの管理をしくじった件でクビになりそうなんでな」
ジョン「それはそれは…。去年のあのひどい事件に関してですか」
ウェイランド「そうなんだよ」