Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その18)
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Bill Willingham
Vertigo
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※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
【前回から続き、ウェイランドとスノウの面談。スノウのオフィスで話す2人】
スノウ「ファームで起きたことについて、あなたのせいにするつもりはないわ」
スノウ「こうした事件に際して、現世人の“近代的精神”を適用するほど、私たちはまだ毒されてはいないもの。責任は完全に革命派側にあって、被害者側じゃない」
※現世人(Mundys)はフェイブルズ側から見た現実世界の人間のこと。彼ら独自のスラングらしい。
ウェイランド「それを聞いて安心したよ、スノウ」
スノウ「だけど、それと同時に、あなたにはファーム管理者として再出発する道がもうないことも確かなのよ」
ウェイランド「ああ、それも知っている。革命派のみんなが俺を拉致した最初の晩に、管理者としての俺は終わったんだ。農場のみんなの尊敬を集めるようなボスが必要なんだろう」
スノウ「ごめんなさい、ウェイランド」
ウェイランド「いいさ。本当のこと言うと、ずっとシティに移りたいと考えていたんだ。それはもう何年間も…いや、ちょうど一世紀も経つのか」
スノウ「それがあなたの決定なら承認するわ。ただ、あなたの新しい仕事について話したいのだけど」
ウェイランド「仕事?」
スノウ「2人で話せるところまで歩きながら話しましょう。押してもらえる?」
【ウェイランドに車イスを押され、オフィスから出る2人】
スノウ「ファームの外れにあった洞窟には、まだ銃火器が残されているのよね? あれを非人間型のフェイブルズ用に改造してもらうことはできるのかしら?」
ウェイランド「君は革命を支持していないんじゃ…?」
スノウ「もちろん革命も、そのやり方も支持しないわ。とはいえ、魔王軍に対抗するために、こっちの世界の銃火器を製造するのはいいアイデアだと思う。革命に使われないようにしなきゃならないけどね」
ウェイランド「ホームランドに侵攻したい、と?」
スノウ「当然よ。だけど今じゃないわ。今年でもないし、おそらくこの10年の間でもないでしょう。ただ、いつの日にかは、ね」
スノウ「魔王は、こちらよりも膨大な軍隊を有している。しかも、私たち1人当たり100人の魔女や魔術師を抱えているわ。兵器運用の面で優位に立たなきゃいけないのよ」
スノウ「だから、銃火器の製造を続けてほしいの。もちろん今度は鎖につながれずに、あなたに合ったペースで製造してくれればいいわ」
ウェイランド「わかった、真剣に検討しよう」
スノウ「ありがとう。こっちの方向へお願い」
【スノウ、通路を指差す】
ウェイランド「ゲストルームで泊まっていけと言うのなら、話の続きは明日にしよう」
ウェイランド「君にちょっとしたサプライズがあってね。それがいいことなのかどうなのか、確信がないんだが…」
スノウ「サプライズって?」
ウェイランド「実はローズ・レッドもファームから一緒に来ているんだ。彼女はあそこでよく働いているが、ようやく君と一対一で会う用意ができたみたいだな。君のほうで準備ができていない場合に備えて、下のトラックに待たせているよ」