Fables vol.3 "Storybook Love" (翻訳その5)
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※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
第2章「イントゥ・ザ・ウッズ」
【ニューヨークのフェイブルタウン。ブルーボーイとフライキャッチャー、ピノキオらが、雑談しながらコミックブックストアから出てくる】
フライキャッチャー「マジか? スノウとビグビーが一緒にどこかへ行ったって?」
ブルーボーイ「うん、おとついね。突然だった」
ピノキオ「2人は1年以上前からいい関係だって聞いたけど。」
フライキャッチャー「ああ、スノウが入院してた時からね」
ブルーボーイ「っていうより記念集会のときからかな。ローズが死んでいないことを明らかにしたときからだ」
フライキャッチャー「駆け落ちしたんだ」
ピノキオ「ビグビーに関しては、あいつの動物的本能を考えれば納得できるけど、スノウはどうよ。彼女は“氷の女王(アイスクイーン)”だ」
フライキャッチャー「アイスクリーム?」
ブルーボーイ「冗談よせよ、スノウはセクシーで魅力的だ。一晩を一緒に過ごせるなら魂を売ってもいいね」
フライキャッチャー「腹減らない?」
ブルーボーイ「いや、俺のじゃなくてやっぱりお前の魂を売ろう」
【場面転換。ビグビーが川の中で泳ぎを楽しんでいる。どうやら人里離れた山奥の森林の中らしい】
<フェイブルタウンがお昼に差し掛かるころ、西部ではまだ早朝だった>
【川から上がり、服を着るビグビー。その途中、急にハッとした様子で周囲を見回す】
ビグビー「うん!?」
【テントの中で寝ているスノウ。外からテントをパンパンと叩く音が聞こえる。テントの外に出てみると、ビグビーがフライパンでテントを叩いていた】
スノウ「何やってるのよビグビー」
ビグビー「起きろ、スノウ。問題発生だ。顔を洗って着替えて、ションベンして、とにかく朝の準備をしろ。出発しなきゃならん、素早くな」
スノウ「どこよここ? 私、なんでテントにいるの?」
ビグビー「知らん。が、俺たちはここで2~3日ほどキャンプしていたようだな」
【場面転換。フェイブルタウンのとある屋敷の屋根裏。ウィルフレッドが数匹のネズミに囲まれている。穏やかな雰囲気ではない】
<一方その頃…>
ウィルフレッド「下がれ、フェイブルタウンの公務中だ! 警告したぞ、なぜ返答しない」
【ウィルフレッドは剣を抜き、ネズミたちを威嚇するが、彼らはそれを意に介せずウィルフレッドに襲い掛かる】
ウィルフレッド「なんてこった、お前たちはフェイブルズじゃあないな、こっち側のネズミか!」
【再び場面転換。ビグビーとスノウのシーンへ】
ビグビー「君が起きる前に荷物を調べてみた。俺たちはニューヨークからシアトル行の片道航空券の半券を持っていた。ということは、ここはカスケード山脈のどこかかもしれん。登山道具はどれも新品で、シアトルの専門店で購入したようだ。それと上着もな」
※カスケード山脈はアメリカの西海岸沿いにある大きな山脈。
スノウ「で、他の荷物は持たないまま、ここに流れ着いてキャンプしてたってこと? あなたと一緒に?」
ビグビー「そう思う」
スノウ「ありえない! 私がそんなことするはずないわ」
ビグビー「もちろんだ。だが、俺たちが一種の混乱状態にあったことは間違いない。何らかの魔法効果が俺たちをここに向かわせ、レンジャー・リックごっこをさせたんだ」
※「レンジャー・リック」は子供向けのアウトドア専門誌。
ビグビー「その効果もようやく切れたようだ。誰かが見つけてくれるかもしれんから、テントと荷物はそのままにしておこう。しばらくしたら戻ってくる」
スノウ「どこに行こうってのよ?」
ビグビー「君の装備品の中からレンタカーの鍵を見つけた。近くに駐車されてるはずだ」
スノウ「どうして言い切れるの?」
ビグビー「君はまだ十分に歩けるだろ。混乱状態にあったとはいえ、こんな山道を長距離歩けるとは思えない」
スノウ「誰が呪文をかけたのかしら」
ビグビー「確証はないが、なぜか『ジャックが背後にいる』と本能が告げている。もしそうなら、これは単なるイタズラで悪意はないのかもしれん」
スノウ「ただのイタズラなら、じっと待ってたほうがいいんじゃない?」
ビグビー「ただのイタズラじゃない場合もある」
【ビグビーとスノウは、森林の中へと歩き出す】