読めよぉー。(´;ω;`)

あとプレイしたり、観たりしろよ。アメコミ翻訳はじめました。

Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その6)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

<チャプター3:これを聞いたら俺を止めてくれ。1人の男がバーに入って来たんだ…>

※「1人の男がバーに入ってきた~」はジョークでよくある定型文。

【夜、バーのカウンターで、ジャックが豊かな髭を蓄えた男性と話している】

ジャック「違う違う、ちゃんと理解しろよ。もともと魔法の豆は5粒あったんだ。それを母ちゃん(安らかに眠ってくれますように)が窓から庭に投げ捨てた」

ジャック「俺は母ちゃんが眠ったのを確かめてから、こっそり庭に出て、はい回ってそれを取り戻そうとした。で、どうにか4粒は見つけることができた。翌日、見つからなかった豆が、魔法の豆の木に成長しているのを発見したんだ」

ツグミ髭「豆の木は、たった1粒の豆から成長したと?」

ツグミ髭はグリム童話「つぐみのひげの王様」の登場人物。

ジャック「まさにその通りだ、ツグミ髭。それをわかってほしかったんだよ」

【酒を飲みながら話を続ける2人】

ジャック「まだ残り4粒の豆は持ってる。だから1粒をどこか離れた場所に埋めて、それが雲の上のクラウド・キングダムに到達するまで見守る。そうするべきだ」

ツグミ髭「なぜだ?」

ジャック「クラウド・キングダムに魔王軍が侵攻していないことは明らかだからさ。魔王だって魔法の豆は手に入れてない」

ツグミ髭「なぜそう言い切れる? もしかしたら、魔法の豆が大量に残された倉庫を見つけたかもしれんぞ。帝国領のあちこちに魔法の木やエレベーターがあって、毎日クラウド・キングダムと地上とを行き来しているかもな」

ジャック「馬鹿なこと言うな」

ツグミ髭「どこがだ。巨人やトロールやドラゴンなんかの力を借りれば、エレベーターを導入するのにも十分な時間がある」

ジャック「エレベーターの話じゃねえよ。魔王が魔法の豆を見つけたってところが馬鹿げてるって言ったんだ。魔法の豆は超レアアイテムだぜ。その最後の5粒を買ったんだ」

ツグミ髭「どれくらいレアなんだ? 5粒買うのに牛一頭必要なくらいか?」

ジャック「分かってねえなあ。クラウド・キングダムの王たちはミダス王よりも金持ちなんだ。もし豆を植えていて、クラウド・キングダムまで登っていたら、俺たちはそのカネすべてを手に入れることができていたはずだ」

ツグミ髭「では、なぜそんなに気前よく私を大冒険へ誘おうとするんだ?」

ジャック「なぜってあんたは資金を持っていて、俺は持っていないからさ。こういう冒険が資金不足じゃあ駄目だろ。そこで取引だ。俺たちは対等のパートナーになる。俺は魔法の豆を1粒提供するから、お前は冒険に必要なおもな経費を支払う。だいたい13000ドルくらいだ」

ツグミ髭「そのカネは、二度と目にすることがないんだろうな。この話はなかったことに。お前のやり口を知らないわけじゃないし、お前のたくらみやに架空のマメ科植物にお金を費やすこともない」

ジャック「俺が本当は豆を持っていないと思ってるのか?」

ツグミ髭、グラスをテーブルに置いてバーから出ていく】

ツグミ髭「おやすみ、ジャック」

ジャック「気に食わん野郎だ」

<フェイブルタウンから離れた区画>

【深夜タクシーに乗ったビグビーが、バーの前にやってくる】

ビグビー「ここだ。釣りは取っておいてくれ」

運転手「ありがとよ」

【店に入り、店員に注文するビグビー】

ビグビー「ウィスキーをくれ。多めにな」

【ウィスキーのグラスを持って、店内のテーブル席に近づく。そこにはサングラスをかけ、白杖を持った男性が座って酒を飲んでいた】

男性「ビグビーだな。どうやって俺を見つけたんだ?」

ビグビー「こっち側の社会で暮らすことにしたフェイブルズの足取りは、すべて追跡してある」

男性「まあ座れよ」

ビグビー「景気はどうだ、カイ」

カイ「よくもなく、悪くもなくだ」

※カイはアンデルセン童話「雪の女王」の登場人物。

ビグビー「こいつはたまげた! また目をえぐり取ったのか。なぜそんなことを?」

カイ「わかるだろ。俺の目は、人々がその人生で犯してきた邪悪な行いしか見ることができない。良心は見えず、悪心だけが見える、こと細かにな。そう知ったときの気持ちを想像できるか? 何も見えないほうがいいのさ」

※童話「雪の女王」の作中で、カイの両目の奥には悪魔が作った魔法の鏡の破片が刺さってしまった。この破片が刺さった目は、人々が隠し持っている邪悪な心や過去に行ったよこしまな行為しか見えなくなってしまう。

ビグビー「どれくらい経つ?」

カイ「目をつぶしてからか? 数年だな。最低でも3~4年したらもとに戻るだろうが」

ビグビー「クソッ、見てほしいフェイブルがいるんだがな」

カイ「昔、全員テストしただろ?」

ビグビー「新規参入者なんだ。俺はその少女が魔王軍のスパイなんじゃないかと疑っている。お前がひと目見てくれたら、真偽が明らかになったんだが」

カイ「俺たちにとっては良くない事態ってことか。だがマタイ書でも言ってる。『もしあなたの片目が罪を犯させるなら…』」

【ここまで言って黙りこむカイ。この後、「それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい」と続くため黙ったと思われる】

カイ「たとえ何度もこの目をえぐり取ることになろうとも、どれだけ深く傷つけようとも、割れた鏡の破片を取り除くことはできん。どうして呪いってやつは、役に立つ魔法よりも多いんだろうな」

ビグビー「知らん。雪の女王に聞け。おい、カイ」

カイ「わかってる。もう行くんだろ」

ビグビー「ああ、この捜査は無視できない。明日の早朝便をつかまえなくては。気を付けろよ、カイ」

カイ「おい、ビグビー」

ビグビー「なんだ?」

カイ「以前、俺がお前を『見た』ときは善人しか見えなかったよな?」

ビグビー「そうだったか?」

カイ「そうだ。ビグビー、お前は一度も魔王に仕えたことがない。だがいつかお前の仲間たちがお前を疑うようなことがあれば、彼らは毎晩ベッドで震えて眠ることになるだろうな。お前が本当にしてきた非情な行為を知れば、な」

ビグビー「昔の話だ」

カイ「そう願うよ」

【そう言ってバーを後にするビグビー】