Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その7)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

【前回からの続き。ツグミ髭に融資を断られたジャックは、そのまま深夜までバーで飲み続けていたようだ】

ジャック「♪もし海がウィスキーなら、俺はそこで泳ぐアヒルだ~♪」

※歌っているのは『Rye Whiskey』というフォークソング

【歌いながらバーから出てきたジャック。彼のもとへ、同じくバーから出てきた黒服の3人組が話しかけてくる】

黒服の3人組「よろしいですか、ホーナーさん」「ジャック・ホーナーだな?」「そうなんだろ?」

ジャック「おやまあ、メン・イン・ブラックだ。すげえ。その服、お母さんが映画用に作ってくれたのか?」

黒服の3人組「我々は、お前の提案を受け入れよう」「あの紳士と話し合っていた提案のことだ」「さっき言っていた提案だよ」

ジャック「てめえらいったい何のことを話してるんだ? 部外者は帰りな」

黒服の3人組「魔法の豆の話だ」「4粒残ってるんだろ」「我々がそれを買い上げようと言っているんだ」

黒服の3人組「13000ドル支払えばいいんだな?」「我々なら支払う用意がある」「13000ドルは、1粒当たりの値段か? それとも4粒すべての値段か?」

ジャック「何も知らないバカはすっこんでろ。魔法の豆なんてものはねえよ。知らなかったか、サンタクロースとイースター・バニーもいないんだぜ。お前らのウソ発見器は、“超だまされやすいモード”に設定されてるんじゃねえのか」

黒服の3人組「失礼ながら」「ジャック・ホーナーさん」「もっと敬意を払うべきだな」

【そう言ってジャックに掴みかかる3人組】

ジャック「おい、手を放せよ!」

黒服の3人組「魔法の豆を手に入れようと思っていたんだ」「何としてでもな」「それと、フェイブルタウンにある他のマジックアイテムもだ」

【3人組はジャックを押し倒し、殴る蹴るの暴行を加える】

ジャック「や、やめろ!」

黒服の3人組「人間たちには教える必要があるな」「フェイブルズも、俺たちに敬意を払うんだ」「特にフェイブルズの人間はな」

【場面転換。オフィスで話し合うビグビーとコール老王】

コール老王「昨晩、赤ずきんがどこに泊まったのかはわからんよ。ただ、彼女は君からの調査を予期して、ひどく取り乱していた」

ビグビー「でしょうな、驚くことでもない」

コール老王「君と赤ずきんとの忌まわしい過去の出来事を思えば、無理もない」

【ビグビー、旅行カバンの準備をしながら答える】

ビグビー「そうじゃない。少なくともそれだけじゃない。彼女には何か“語られざる物語”がある。そして、彼女はそれをできるだけ長く疑惑段階に留めておくことに対して、慎重に注意を払っている。昔の話を持ち出すのは、俺との接触を避けるのには手ごろな理由でしょう」

コール老王「語られざる物語? ナンセンスなことを言うじゃないか。君はときどき自分にしか通用しない言葉で話しているぞ」

ビグビー「今はすべて説明している時間がないんですよ、市長。フライトは午前7時発だし、それまでにスノウのところでチケット代の仮払い申請をしなきゃならないんでね」

コール老王「どこに行くんだね? ここにいてもらわなきゃ困る。早いところ赤ずきんの経歴を調べてくれ。そうしなきゃ、我々は彼女をコミュニティーの一員として歓迎できないじゃないか」

ビグビー「それはあり得ませんよ。彼女はクロだ。魔王軍のスパイで、俺はその証拠を探しに行くんです」

コール老王「バカな、ありえない! フェイブルタウンの住民は、みんな彼女を歓迎しとるぞ。住民の幸福度は高く、そういう人々は市長を新しく選び直そうと思わないはずだ。それも今まで一度も実施されたことがなかった再選挙なら、なおさらだ」

コール老王「君はここに留まって、プリンス・チャーミングをやっつける方法を探すべきだ。彼のスキャンダルを見つけることができれば、もっといいぞ。そうなったらやつは棄権せざるを得ないだろうからな。うむ、それがもっともリスクが少なそうだ」

【ビグビー、コール老王の話を無視してスノウの自宅に電話する】

ビグビー「スノウ、起こしてすまない。ビジネスオフィスに降りて来てくれないか、できるだけ早急に」

コール老王「やつのファイルを漁って、汚職と悪事の証拠を引っ張り出せば…。おい、ビグビー、話はまだ終わってない。どこに…」

【旅行カバンを抱えて部屋を出ていくビグビー】

ビグビー「部屋を出るときは鍵を忘れないでください」

【場面転換。プリンス・チャーミングの自宅。『プリンス・チャーミングを市長に』と書かれたポスターを持つホブズ】

ホブズ「サー、これはいかがですか?」

プリンス「パーフェクトだ。早速、それを貼り出してきてくれ。今日中に、フェイブルタウンのいたるところにな。最低でもすべての店舗やレストラン、マンション玄関には貼ってきてほしい」

ホブズ「良い考えですな」

【ポスターの束を抱えて出ていくホブズ】