Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その9)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

<チャプター4:合衆国憲法修正第2条問題>

【ジャックを襲った黒服3人組が銃砲店の前に立っている】

黒服3人組「ここだ」「いつ開店だ?」「もう少ししたらな」「兄弟、俺は先読みするタイプだが…ここに来る前に、倉庫に戻って新しい足を取ってくることもできたんじゃないか?」「労力を無駄にしないことが重要だぞ、兄弟。最後には倉庫に戻らないといけないんだから、二度手間になるだろう」「いつもながら完璧な説明だな」

【しばらくして店のドアが開き、店主が出てくる】

店主「おはようございます、お客様。お早いですな」

黒服3人組「ようやく開いたか」「早起きは三文の徳って言うだろ」「だが、俺たちにコーヒーでも出せってことじゃないぞ」「そうだ。比喩的な表現だ」

店主「え、ええ分かりました。何をお探しで?」

黒服3人組「銃が要る」「その通りだ。ぜひ手に入れたい」

【店内に入って銃を見回す3人】

店主「かしこまりました。ぴったりの店に来ましたな。どんな種類の銃が必要ですか?」

黒服「全種類ひとつずつだ」

【場面転換。ウッドランド・ビルでのビグビーとスノウ、ジャックの会話。ジャックは襲撃現場から持ってきた木の足を見せて2人に言う】

ジャック「あんたらも見ればわかる、やつら木の足をしてたんだ。あいつらを倒せたらよかったんだけど、逃げられちまった」

ビグビー「で、今度はどういう詐欺だ?」

ジャック「何のことだよ?」

ビグビー「お前が強盗に遭ったとは信じられんな。何かたくらんでるんだろう。だが、それに付き合っている時間はない」

ジャック「そんなことしない。この傷を見てみろ!」

【ジャックは黒服たちにやられてボロボロだが、ビグビーはいまいち信用しない】

ビグビー「どうせいつものウソだろう」

ジャック「今回は違うって!」

スノウ「ねえジャック、オオカミ少年って知ってる?」

ジャック「ああ。このビルの7階に住んでるやつだろ」

スノウ「はあ…、もういいわ」

ビグビー「タクシーを待たせてある。行かなければ」

【ビグビー、スーツケースを手にして部屋から出ようとする】

ジャック「あいつらフェイブルズだぜ! 新しいフェイブルズがこの街にいるんだ」

ビグビー「どうしてそう思う?」

ジャック「俺が木材でぶん殴ったあとでも、歩いて逃げ切れたからさ」

ビグビー「わかった、ジャック。そいつらに勝ったのは確からしいな」

【場面転換。再び黒服たちの銃砲店。テーブルに乗せられた何十種類もの銃器をチェックする黒服たち】

黒服「人間たちは何種類の銃を作り出したんだ?」

店主「数千種類は。何十万かもしれません」

黒服3人組「バカ正直というか、無節操だな」「人を殺すために、こんなに違った種類が必要なのか?」「そういえば爆弾はどうだ? どこで手に入れる?」「この店で売っているか? それとも他の店で買えるのか?」

店主「さあ…」

黒服「もうこんな時間だ、兄弟。こいつらを持って任務に戻らなければ」

店主「お客様、本日お持ち返りすることはできませんよ」

黒服「なぜだ」

店主「なぜって購入から3営業日の審査期間が必要だって法律で決まってますよ。今日購入するのであれば、金曜まではお渡しできません」

黒服「そう言うつもりなら…これで金曜だ」「銃を袋に詰めろ」

【黒服、壁にある日めくりカレンダーを3日分破り捨てる】

店主「それはできません!」

黒服3人組「命令か? 人間が俺たちに命令するのか?」「何ということだ」「あきれたもんだ」「矯正的なおしおきがふさわしいと思わないか?」「疑問の余地はないな」

【しばらく後、銃を腕に抱えて店から走り去る黒服たち。店内には、ナイフでメッタ刺しにされた店主の遺体が。その胸にはメモが残されていた】

<人間どもへ ここが野蛮で下品な世界だとはっきりわかった。目上の人に対するマナーを身に付けるんだな。 ヒュー、ドリュー、ルーより>