Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その12)
※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
<チャプター5:書状>
【ファームの離れにある運営オフィスに、起きたばかりのローズレッドがやってくる】
ローズ「ふああ…」
子ヤギ「おはよう、ローズ・レッド」
ローズ「うう…ううーん」
子ヤギ「納屋で寝たみたいだね」
ローズ「1~2時間ね。昨日の夜は、ウェイランド・スミスとトラクターで作業してたのよ」
子ヤギ「わお、ホントに? ♪聞いちゃった 聞いちゃった ローズとウェイランドがキスしてた♪」
ローズ「お昼にサンドイッチにして食べちゃうわよ。おはようスティンキー、よく眠れた?」
【オフィスの前にいるアナグマにあいさつするローズ】
スティンキー「あなたまでそう呼ぶんですか! 結構なことですな!」
※スティンキーはあだ名。本名はブロック・ブルーハートで、児童文学「たのしい川べ」に登場するアナグマらしい。
スティンキー「若いメスのスカンクの穴に、一度落っこちただけですよ! それなのにそんなひどいあだ名をつけるなんて!」
ローズ「種族を超えた恋愛には苦難がつきものだわ」
スティンキー「恋愛? 彼女はスカンクですよ!」
【ローズはスティンキーの言葉を無視して、オフィス机の上にいるコガネムシのような昆虫に話しかける】
ローズ「おはよう、ピート。日勤のシフトよ。マスタード瓶に戻っていいわ」
ピート「オーケー。ふああ…じゃあまた夜に」
※マスタードの瓶に住んでいるらしい。
【ピートから仕事を引き継いだローズだが、業務日誌に目を通して驚く】
ローズ「ちょっと、なんでこんなに新しい仕事が増えてるのよ」
ピート「昨晩は苦情がたくさんあったんで、忘れないようにメモしておいたんだよ。昨日は一晩中、苦情の内容を書きつけておかなきゃならなかった。苦情っていうのは、あのデカい鶏の脚がついたあれのこと…そう、ベイビー・ヨギーの魔法の小屋」
ローズ「バーバ・ヤガーね」
※バーバ・ヤガーはスラヴ神話に登場する老魔女。巨大な鶏の脚が付いた、動き回る小屋に住むとされている。
ピート「そう、それそれ。あれがいきなり制御不能になって、走り出したんだ。みんなの屋根を踏み荒らすわ、ゴミやら空き缶やらをひっくり返すわ、動物の群れを蹴散らすわで……」
ローズ「ありえないわよ、あの小屋は魔法のコントロール下にある。それよりも高級な魔法が、あの小屋に“上書き”されたんだわ。なんで私を起こさなかったの?」
ピート「できなかったんだよ。昨日は部屋にいなかったろ?」
スティンキー「そうなのかい?」
ローズ「わかった、そのことはもういいわ。魔法の小屋は今どこに?」
ピート「森の外。たぶん、ファームの境界あたりまで走ってると思う。志願兵をつのって、あの小屋にロープをかけようとしているところだよ」
【ピートの言う通り、ニワトリの脚が生えた小屋が走り回っているところへ、ファームの動物たちがロープをかけようと奮闘している絵が示される。一方、場面転換してニューヨークのフェイブルタウン、スノウのオフィスへ】
スノウ「ブルーボーイはどこ?」
フライキャッチャー「5日前から行方知れずで…」
スノウ「5日! 長すぎるわ!」
ピノキオ「ラブラブ中なんだよ。あのアバズレの赤ずきんと一緒にどこかへ行っちまったんじゃないか」
フライキャッチャー「ああ。でもこんなに長く? しかもトランペットなしで?」
ピノキオ「駆け落ちだよ、たぶん。ハネムーン旅行で、ナイアガラの滝の近くの安っぽいホテルにしけこんでるに違いない」
フライキャッチャー「ビグビーなら捕まえられる。彼はどこに?」
スノウ「ビグビーはいないわ。私たちだけでブルーボーイを見つけなければ」
Fables Vol. 4: March of the Wooden Soldiers
- 作者: Bill Willingham,Mark Buckingham
- 出版社/メーカー: Vertigo
- 発売日: 2004/11/01
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