Lady Killer #5
※『Lady Killer』は殺し屋兼主婦のジョシー(ジョセフィン)を主人公にしたアメリカンコミックスです。周囲に殺し屋の顔を隠しながら、良き妻・良き母として毎日の生活を送るジョシーの姿が描かれます。
【前回からの続き。車の外には、銃を突きつけるペックが立っている】
ペック「逃げる気か、ジョシー。わかってるだろ?」
ジョシー「わかってる?」
ペック「ああ。だが話をつけることもできる。あそこへ戻ってあのガキを殺せ。俺の言うとおりにすりゃうまくいく」
ジョシー「そうかもね。それか、あんたの銃を奪ってその頭を撃つか」
ペック「そりゃ無理だな。お前は銃の威力を知ってる。だからこうなってるんだろ」
ジョシー「ステンホルムのところに戻って泣きつくんだね。イカレ野郎!」
【ジョシーは座席に座ったままの体勢でペックのあごを蹴り上げる。そのままペックに背を向け、車のダッシュボードに手を伸ばしてナイフを取ろうとするが】
ペック「こんなことしたくなかったぜ。まあ今はもう楽しんでるよ!」
【ペックの撃った銃弾は、ジョシーのハイヒールをかすめる。驚いて動きを止めるジョシー。ペックは車に乗り込み、再びジョシーに銃を向ける】
ペック「いいアイデアだ。車の中で殺すほうが都合がいい。恋人同士の痴話ゲンカに見えるだろうな。若い女のほうがちょっかいを出しちまって、どうにもならない状況に陥ったわけだ」
【と、そのときペックの後頭部にショットガンが付きつけられる】
通りがかりの老人「銃を下ろして、車から出るんじゃ!」
ペック「落ち着けよ、おっさん。過剰反応するな」
【両手を挙げるペック。その手からジョシーが銃を奪い取る】
老人「大丈夫かね、お嬢さん」
ジョシー「そんな変人、知らないわ。私のあとをつけてきたと思ったら、いきなり襲ってきたのよ!」
【ジョシーはそう言いながらペックのスポーツカーに乗りこむ】
老人「どこへ……?」
ジョシー「そいつを押さえておいて。警察を呼んでくるわ!」
老人「ちょっと待ってくれ。わしはそんなつもりじゃ……」
ペック「待てジョシー、俺の車だぞ! クソッタレ!」
【そのまま走り去るジョシー。老人はあっけに取られてそれを見送る。その隙に老人のショットガンを奪い取るペック】
老人「あんたらイカれてるのか、わしは……」
【老人の言葉を聞きもせず、ペックは彼の頭を撃ち抜いた】
ペック「俺の車を持っていきやがって!」
【場面転換。ジョシーは、どこぞのマンションの前にペックのスポーツカーを駐車させる。車内にあった自身に関するファイルを手にして自宅へ戻り、電話をかける】
電話を取った中年女性「はい、サンプソン・レジデンスです」
ジョシー「エディス? 坂の下の1205番地に住んでるジョシー・シュラーだけど」
エディス「あら、こんにちはジョシー。どうしたの、急に?」
ジョシー「正しい人に電話していると願うわ。あなたが周囲に目を光らせているおかげで、近所のみんなが安心しているのよ」
エディス「まあまあ、何か見たのかしら?」
ジョシー「実は、イエスよ。怪しい車が学校の遊び場の前に停まってるの。あなたの家の窓から見えるはずよ」
エディス「見えるわ! 小さなスポーツカーね? 変質者か何かかしら。遅かれ早かれ、何か起きそうね。ここじゃ誰も望んでないことばかり……」
【どうやらジョシーは、このエディスのマンションの前にペックの車を停めたようだ】
ジョシー「結論を急がないで。あなたのこと信頼してるわ。だから何かよくないことが起きないように見張っててくれると思うけど……」
エディス「そりゃ絶対にね! 私に電話したのは正解よ。いつだったか、子どもたちがマリファナ吸ってるのを見かけたって話はしたかしら……」
【そこまで話をすると、ジョシーは電話を切る】
エディス「ふーむ」
【怪訝な顔で電話を見るエディス。次回へ続く】