WATCHMEN(ウォッチメン)

では1発目、からこんな作品だが、大丈夫か? 大問題だ。

WATCHMENです。アメコミ。大傑作。大好き。食べたいくらい。

著者は原作:アラン・ムーア、作画:デイブ・ギボンズ。本国での初版は1986~87年。

正義のヒーロー&ヒロインが実在する1980年代アメリカを舞台にした、濃密な人間ドラマ。

ヒーローといってもスーパーマンみたいな「超人」は1人だけで、

あとは基本的にただの人。言ってみれば、コスプレイヤーです。

この世界ではヒーロー・ヒロインが覆面やマスクをつけて自警団活動している。

例えば路地裏でオヤジ狩りが行われていたら、

いきなり覆面の男が登場して犯罪者を叩きのめしオッサンを助ける、そういう世界。

しかし問題は、現実のアメリカだということ。

アメリカとソ連の冷戦まっただ中であり、核戦争が今にも勃発しかねない。

もっとはっきり言えばヒーロー活動なんかやっても、明日には死ぬかもしれない。

じゃあどうするべきか?

そこから始まる、ひとつの陰謀。ウォッチメンはその謎を巡る物語です。

シンプルといえばシンプルなんだけど、

先述の通り中身が恐ろしく濃い。カルピス原液より濃い。

原作のアラン・ムーアは、

登場するヒーロー&ヒロインの生い立ちや思想背景を丹念に練り上げ、

世界観とそこでの歴史まで事細かに設定・整理し、

コマのすみに描かれた新聞の見出し1文にさえこだわった。

ぶっちゃけていえば、描かれたものすべてに意味を持たせた。

だからこそリアリティがあるし、キャラも世界も生々しい。

逆に、そんなんだから、読んでて疲れます。

正味で400ページくらいあるし、1ページあたりの情報量が多い。

物語も複層的だし、あちこちに張り巡らされた伏線は、ほとんどあやとり状態。

いわゆるアメリカン「コミック」ですが、読み切る体力の消耗が激しいので、

小説を読むくらいの気持ちで挑んでください。

でも、それらを乗り越えたとき、ラストエピソードでは

パズルのピースがパチパチパチッとはまるような興奮と感動を覚えるはず。

この興奮は、他ではちょっと得られない。

歯ごたえのある作品を探している人、

アメコミに興味ある人に読んでほしい1冊。5つ星。