LIMBO

えー、Xbox LIVEアーケードのゲームを取り上げるのは初ですね。
2DアクションゲームLIMBO』です。

タイトルのリンボとは、キリスト教でいう辺獄(地獄と天国の中間くらいの場所)のこと。
ストーリーはあってないようなものです。
主人公の少年を操作して、離れ離れになった妹を探す旅に出る……というもの。

操作はジャンプと「ものをつかむ」などのアクションだけ。パンチキックの攻撃不可です。
ゲーム中、白と黒以外のカラーは一切登場しません。モノクロだけです。
BGMもありません。基本的に環境音とSEだけです。

が、それでも面白く、かつ心が震えるんだから、ゲームってのは奥が深い。

上記のとおり、2Dアクションゲームですが、道中には凶悪な仕掛けが無数にあります。
トゲ満載の落とし穴、身の丈ほどもあるトラバサミ、転がり落ちる焼けた石、
巨大グモ、プレス機、電気丸ノコギリ、高圧電流、水責め、機銃掃射、etc、etc...

もちろん体力ゲージなんてものもないので、
一瞬でもそれらの罠に引っ掛かれば、即死。インスタントデス。
慣れないうちはそれこそ数分~十数分に1回の割合で死ねます。(即時リトライ可)
この凶悪さ、プレイヤーに対する殺意。これが素晴らしい。

もちろん、罠を回避する方法はちゃんと用意されてます。
ただジャンプして避けるだけでなく、ときには頭を使うことも必要。

ゲーム内では物理演算がしっかり計算されていて、
重力や加速、揺れ、傾きなどを利用した仕掛けを解いていくことも求められる。
例えば、木箱を運ぶことで崩れかけた足場を壊したり、
台車に乗ったスピードを利用して遠くまでジャンプしたり、といった具合。

仕掛けを解く際のアクションは、
シンプルだけど、とても小気味よく動くので、プレイしていて気持ちいいです。

なんというか、手ごたえってあるでしょ。
スーパーマリオでいえば、クリボーを踏みつけたときの反動のジャンプ。
ゼルダでいえば、草を引っこ抜く際の「うんしょっ!」っていうワンテンポ。
本作の仕掛けはその“手ごたえ感”がとてもよく再現できてる。

木箱を押して移動するという単純なアクションでも、
ただ「ボタンを押して木箱に接触すればスーッと動く」のではなく、
「ほんの一瞬、キャラがグッと溜めてから、木箱がズズズッと動く」、この感じ。
このひと手間が実によく再現されてるので、遊んでてまったく苦にならない。

サウンドに関しては、BGMがないと述べましたが、その分、環境音やSEが際立ってます、
主人公が走れば「ザッザッザッ」、トラバサミは「ガシャン!!」と恐ろしげな音をたて、
台車を押せば車輪が「カラララ・・・」と鳴り、電動丸ノコは「ギイィィィン」とうなる。
イヤホンで聴くと、臨場感がハンパないです。マジで。

そして、やはりこのビジュアル。モノクロだけというシンプル・イズ・ベストっぷり。
余計なものが一切ないので、それゆえにプレイヤーの想像を掻き立てる。
森林や洞窟、工場、都市などステージ構成は少ないながらも見事。
陰鬱で、静謐で、幻想的で、不気味で、狂気に満ち、ゾッとするほどに美しいと思える。

ボリュームと再プレイ性がやや少ないですが、質の良い文庫本を読みきったような、
あるいは構成の優れた2時間ドラマを観きったような充実が味わえます。おススメ。
なお、上にあるトリプルパックはLIMBO』のほかTrials HD』と
'Splosion Man』を同梱したディスク版です。
また、Xbox360のほかPS3でもダウンロード配信されてます。

おまけ。公式トレーラー。
うーん、ビューティフル。震えるね。