Rockstar Games presents Table Tennis

ロクに運動もせず、この広い宇宙のように膨張し続ける下腹部を
ただ見守るだけの生活を送っていますが(ダイエットせえよ)、
中学ん時は半強制的に部活動所属が義務付けられていたので、卓球部に入ってました。
いろいろ面倒なことがありつつも、3年間やり通したのが自慢といえば自慢。
相手がシロウトなら10点差ハンデでも100回やって100回勝てるよ。いや、割とマジで。

卓球っつーと、屋内スポーツってことや、
プレイのダイナミズムが(他の球技に比べて)小さいことなどから
「ネクラ」だの「ピンポン」だのと評されがちなスポーツですが(最近はそうでもないけど)、
やってみると結構面白いし、ハードだし、奥深いのですよコレが。

なんでかっつーと、単純なフィジカルのスポーツじゃないから。
部の顧問が、「卓球の面白さはボールの大きさに対して回転がかかりやすいこと」と
言っていたんだけど、まさにこの回転があって初めて卓球は面白くなる。

例えばトップスピン(ドライブね)、バックスピン、左右、ナナメ、無回転などなど。
単なるボールの打ちあいのように見えるかもしれんけど、
実際はラケットのラバー面に触れた瞬間、
ボールがアサッテの方向にぶっ飛んでいくくらいの勢いで回転がかかってる。
回転がキレまくってると、レシーブ側のラバーが裂けることもあるっつーから恐ろしい。

この回転を見極めて、微妙に調整しながら(ときには力任せに)打球する必要がある。
回転は、打球のフォームや打球音、球速、ボールの軌道などから判断できるけど、
多くの場合は経験と勘です。考えてからレシーブ、では間に合わん。
もちろん、まずボールに反応し追いつく、という反射神経も必要。

こういう特徴があるスポーツなので、経験を積めば、ほぼ必ずシロウトに勝てる。
陸上などと違って、「潜在的な身体能力の差」が出にくいわけです。
その代わり、やればやるだけ(程度の差はあれ)強くなれる。
ある意味でフェアなスポーツといえる。そういうところが好きだったのかも。

さ・て。前置きが長くなってしまいました。
今回は『Rockstar Games presents Table Tennis』です。タイトルもなげえ。
GTAシリーズで有名なRockstar Gamesによる卓球ゲーム。

スポーツゲーム史上、もっとも本物のスポーツに近い感覚だ」(IGNの評)という
パッケージ裏のテキスト通り、本物の卓球にかなり近いプレイ感を提供してます。

基本的に使用するボタンは左スティックとX・Y・A・Bボタン。
左スティックはキャラ移動と打球コースを決定。X・Y・A・Bで打球。
ボタンによってトップ、バック、左右のスピンを打ち分けられる(右スティックでも代用可)。

さすがに、というかゲーム性を残すため、
0.1秒を読み合うまでの反射神経は必要とされない(あれば有利だけど)。
むしろ、ボールの打ち分けとコースの読み合いが勝負のキモです。
シンプルな分、直感的な操作が可能になっていて、
慣れると狙い通りの方向に、狙い通りの強さで、
狙い通りの回転の球を打つことができるようになる。

狙い通りの球を打てるようになると、相手が“読み通り”の球を返してくるので、
それをまた狙い通りの強打で打ち返す。このカタルシスが見事に再現されてる。

ストーリーモードも必殺技もないんだけど、
その代わりキャラの動きや打球の挙動は非常にリアル。
卓球に必要な物理演算はすべて突っ込んだんじゃないかと思うほど。
SEも素晴らしく、ボールがバウンドする「カッ」、「コッ」という音、
強打した際の「パキッ」という音、シューズのきしむ音がプレイを盛り上げる。

ラリーが続くと、次第に高揚感のあるテクノサウンドがフェードインしてきて、
おまけにSEにも残響音のエフェクトがかかるようになる。
世界が目の前の卓球台だけになったかのような、不思議な全能感を味わえます。
ひたすらにボールを追って、打ち返し、打ち返されて、打ち返す。
卓球がもつプリミティブな魅力を見事に表現していて、スタッフのセンスのよさがわかる。

もう少しゲームモードがあればベストだったんだけど、
これくらいストイックなのもアリかもしらんです。
発売は2006年だけど、これを超える卓球ゲームはあと10年は現れないかも。
と、思ってしまうほど完成度が高い。スポーツゲーム史に名を残す名作。

おまけ。実際のプレイ画面。
日本人プレイヤーは「Kumi」という名前。「サー!」とは言いません。