DT Lords of Genomes

あいだに日記を挟んで、2回連続でゲーム作品の紹介です。

前回の「Skyrim」がメジャーもメジャー、弩メジャーだったため、
今回は比較的マイナーと思われる作品をチョイス。
GBカラーの『DT Lords of Genomes』。
(あっ、マイナー度合い計測値の針が振り切れました、大佐!)

「でぃーてぃー ろーず・おぶ・げのむ」と読みます。ゲームボーイカラーです。
DTっても童貞じゃないので、悪しからず。

トレーディングカード形式のバトルとSFアドベンチャーを軸にしたゲームで、
カードを集めて、デッキ組んで、ストーリーで敵と戦って、
またカード集めてデッキ組んで…というのがプレイのおもな流れ。

カードバトルは「マジック・ザ・ギャザリング」に近いですが、
あれよりももっとスピード感あふれる戦いにチューニングされてます。

キーワードとなるのが「DT」と呼ばれるナノマシンの一種。
これを体内で操ることができる「DTマスター」たちが戦いを繰り広げます。

DTは事実上、あらゆるものデータ化・複製することが可能であり
DTマスターたちは、データと合成素材さえあれば、
さまざまな戦闘ユニットを生成できる。なのでデータをたくさん持っている方が有利。

トレーディングカードゲームの「カード」に相当するのが、本作の「データ」。
データには各種の動物から恐竜、合成生物ばかりか、
サイボーグ&戦闘マシン、さらに「女子高生」や「チアリーダー」といった
明らかに非戦闘要員まであって、いろいろクセのある世界観を味わえます。

ストーリーモードでは、突然にDTマスターとなった男子高校生と女子高生を主人公に、
ハードかつ容赦ない(だけどたまにオチャらけた)物語が展開。

文字ベースとはいえ、ヒロインがあっさり殺されちゃったり、
主人公がその犯人をまたあっさり殺しちゃったり、わりとエグいシーンが満載。
ゲームボーイのソフトのくせに、
「このゲームには暴力シーンや過激な表現が含まれています」
って書かれてるんだから、その内容は推して知るべしですよ。

そして本作を他のカードバトル系ゲームと決定的に違わせているのが、
膨大な量のフレーバーテキスト。

フレーバーテキストってのは、
トレーディングカードに記載されている、ゲームの世界観を表現したテキストで、
ゲームの背景などを端的に知ることができるもの。

一般的にフレーバーテキストは短い文章であることが普通なんだけど、
本作のソレは、めちゃめちゃ長い。かつ濃い。
作品背景を記したテキストや、ユニットの能力・由来を解説したテキスト、
さらにはショートストーリーになっているものまであり、
読み進めているだけで時間がたつのを忘れてしまうほど。

おまけに文章中の単語はカードをまたいでハイパーリンクでつながっており、
ひとつのカードのテキストを読んでいたら、新しい単語が出てきて、
そのリンクをたどって別のカードのテキストを読み…みたいな無限ループに陥る。
ちょうど、リンクをたどってウィキペディアの関連ページを読みあさるような感じです。
うわさでは、テキスト量だけならFF6より多いのだとか。
ホントかどうかは不明ですが、まあ信じたくなるくらいの量ではある。

このフレーバーテキストを読み進めるにしたがって、
ストーリーでは語られなかったいろんな背景を知ることができるようになっており、
設定大好きっこ(いるんです、そういう人種が)にはたまらない仕様。

ネーミングセンスもトンガっていて、ステキ単語がばんばん飛び出します。
秘密結社マハト、シルヴァプラナ機関、ばら6号事件、イスカ、バリスタス、
超生教、スパイラルオーダー、B型ツィビリ菌、A因子……ああ、うっとりしますね。

いやー、制作者はよっぽど先鋭なセンスの持ち主なんだろうなー。
と思ってたら、ディレクターは遠藤雅信さんじゃあーりませんか。得心得心。

過激でガチなストーリーとセンスあふれまくりのテキストということで、
だいぶ人を選ぶゲームであることは重々承知していますが、
それでもこのクセのある味わいにハマれば、濃密な時間を過ごせるはず。

ぜひとも現行機の携帯ハードか、スマホアプリでリメイクしてもらいたい…んですが、
どうしたって売り上げ的に厳しいらしいので、無理っぽいです。
なのでみなさんGBでプレイしましょう。こっちのほうが無理っぽいけど。