Fables vol.1 "Legends in Exile" (翻訳その13)
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Bill Willingham
Vertigo
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※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
【前回からの続き。ビグビーによる“応接間のシーン”】
ジャック「な? お気に入りのCDも散らかしておくべきだって言ったろ」
ローズ「黙って!」
ビグビー「ステレオと同じように、CDも将来的に使うことを明確にしたようなものだ。しかし、ローズはそれが自分の計画を邪魔することだとは考えなかった」
ビグビー「古いトースターについては、将来使うとは気にしていなかった。だから壊して現場のごちゃごちゃに加えたんだ。しかしキッチンは、見せかけの混乱状態とかけ離れていて、まったく手つかずのままだった。なら、どうやってキッチンからリビングルームまでトースターが運ばれたんだろうな?」
スノウ「オーケー、ウルフ。ステレオもトースターも、もう十分よ。すべての真相をかぎつけるのは簡単だったってことね」
【スノウ、泣きながらビグビーに詰め寄る】
スノウ「でも聞きたいのはね、最初からローズがまだ生きていたって知ってたなら、どうして捜査のまねごとを続けたのかってことよ!」
スノウ「落ち着け、スノウ。手を下ろせ」
スノウ「何日もの間、あなたはローズが死んだと私に考えさせ続けたのよ。始めから死んでいないと知っていたのに」
ビグビー「よく聞くんだ。俺が知っていたのは、ローズが犯行現場のねつ造に関係していたことだけだ。彼女が死んでいなかったとは分からなかった。実際、彼女が死んだと考えざるをえない証拠もあった」
スノウ「でも…」
ビグビー「現場には、ひとりの人間が失うには多すぎるほどの、そして生きていられないほどの量の血があった。そして俺はそれがローズ・レッドのものだと知った。犯行現場が作られたものであることは判明したが、この謎全体を解明することにはならなかったんだ」
ビグビー「得られていた証拠に合致する筋書きはたくさんあったんだ。例えば、ローズは他殺に見せかけた自殺を計画することもできた。あるいは、みんなをだますために死を偽装したものの、気付かれないうちに犯行仲間に本当に殺されたのかもしれない」
ビグビー「もちろん、どちらも違う。あのおびただしい量の血は、しばらくの間、俺の裏をかくためのプランの一部だったんだ。そしてスノウ、君こそが最後のピースをはめるための最後の手がかりをくれたんだ」
スノウ「どうやって?」
ビグビー「集会が始まったとき、俺たちはダンスしたな」
回想シーンのビグビー「食事にするか」
回想シーンのスノウ「遅すぎるわよ。美味しい料理は食べられちゃったわ」
ビグビー「そして君は、それらの料理が隠されていることについて話した」
回想シーンのスノウ「でもキッチンを“捜査”することもできるわよ。いい料理は給仕係たちがこっそり取っておいているのよ」
ビグビー「それこそローズたちがやった方法だな。平均的な人間なら、6週間ごとに約470ml失っても、何の悪影響も現れないんだ」
【採決キットを使ってパックに自分の血を詰めているローズの絵】
<ビグビー「2人はしばらく前からこのバカげた仕掛けを計画していたに違いない。自分の死を俺たちに納得させるためには2300ml~2800mlもの血痕が必要で、それを自らの血で集めるにはしばらく時間がかかっただろうからな」>
<ビグビー「彼らはローズの血を彼女の冷凍庫に保管していた。だから、いざそれが必要になったときでも新鮮なままだった」>
ビグビー「ただし、自宅のパーティーにはいつも多くの人が集まる。だから客が血液パックを見つけないようにする必要があった」
ビグビー「冷凍庫に鍵をかかる必要があったのは、そういう理由からだ。俺がアパートの引き出しから見つけた南京錠と掛け金は、冷凍庫のドアに開けられていたドリルの穴とマッチしたことからも、説明がつく」