Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その1)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

<チャプター1:ロードトリップ>

<「昔々あるところに…」をもう一度>

【ニューヨーク、フェイブルズたちのアパートのロビー。ジャックとフライキャッチャーは床の清掃をしており、ビグビーがジャックを監視している。出掛ける準備をしたスノウがジャックに話しかける】

スノウ「聞きなさい、ジャック。私とローズが今週出掛けている間、ビグビーがあなたの管理をするわ。トラブルを起こさないことね」

ビグビー「ジャックがトラブルを起こすはずはないさ、スノウ。そんなことしたら、追加の公共ボランティアをくれてやるよ」

※Vol.1"Legends in Exile"のラストで、ジャックとローズには200時間の公共ボランティアの罰則が科せられた。

ジャック「そんなことできるのかよ!」

ビグビー「試してみるか? 田舎者」

スノウ「彼はできるし、そうすることを祈ってるわ。ジャック、罰則の最後の仕事を終えるまで、あなたは心身ともに私たちのものなの。試すようなことをすれば、神罰みたいな裁定が誰にも知られずに下るわよ」

ビグビー「こっちのことは大丈夫だろう。俺たちのことは忘れて、ローズと旅行を楽しんでこればいいさ」

ジャック「それはまた別の問題だろ。ローズと俺は同じ罰を受けてるんだから。俺が生まれつきの変人のそばでビル清掃の義務につかなきゃならないのに、どうしてローズは仕事から逃れて休暇に行けるんだよ」

フライキャッチャー「そんな意地の悪いなこと言うなよ」

スノウ「ローズはどこにも行かないわよ。ほら来た」

【エレベーターが開き、Tシャツにジーンズのローズが出てくる】

ジャック「悪気はないんだ、フライキャッチャー」

フライキャッチャー「20世代も自分の親族内で結婚しなきゃならないとしたら、お前も近親婚させられるだろうよ。王子の称号を1日たりとも持たなくていいんだから、ラッキーだと思うべきだぜ」

※このセリフは小声でぶつぶつ話している。フライキャッチャーは、もともとはカエルに姿を変えられていた過去のある王子様。貴族間での近親婚のことを話しているのかもしれない。

スノウ「どうしてまだ荷造りしてないの? もう時間に遅れてるのよ」

ローズ「したわよ、姉さん。これがそう」

【ローズは小さなリュックを指差す】

スノウ「それで1週間分?」

ローズ「身軽で旅行するのよ」

ビグビー「気を付けて楽しんで来い。殺し合うなよ」

【そのまま出かけるスノウとローズ】

ジャック「おい、ローズ、行くのかよ…? 行ってきますも言わなかった。俺がいないみたいに振る舞いやがってさ」

ビグビー「彼女のバカげた行為すべてをひっくるめても、それでもまだ彼女は賢い女性だからさ。最終的には、お前から“負け犬”の匂いがすることに気づくくらいにはね」

ビグビー「さあ、仕事にもどれ。これが終わったら、上の階でダンスルームのワックスの剥離とワックスがけだ。フライキャッチャー、ジャックを見ていてくれ」

ジャック「なんでフライがボスになるんだよ」

ビグビー「俺がそう命じたからさ」

【2人に指示してその場を立ち去るビグビー】

フライキャッチャー「それに俺はボスを務めた経験があるからね。いつもこの仕事をやってるし、やり終えるために必要なことも知ってる」

ジャック「何が言いたいんだよ、フライ。何でお前はいつもコミュニティーの仕事に奉仕してるんだ?」

フライキャッチャー「ビグビーは俺が一般人の前でハエを食べるところを見張り続けてるからな。それぞれの違反は長時間の罰則じゃないんだけど、合計されてるんだよ」

※カエルに変えられていた過去のあるフライキャッチャーは、人間に戻った現在でもハエを食べるクセが抜けきらないようだ。一般人(非フェイブルズ)に対しておとぎ話の魔法的性質を見せることはコミュニティーのおきてに反するため、人前でハエを食べた罰としてビルの清掃に従事していると思われる。