Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その14)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

【革命派たちの決起集会。ダンとポージー、ローズとゴルディを中心にして、革命派のフェイブルズが納屋の前の広場に集まっている】

ダン「友よ、自由を求めるフェイブルたちよ! ついに時は来た。我々は素早く──移動の準備が整い次第──ニューヨーク市街のフェイブルタウンへ移動する。そこを支配下に置いたら、ホームランドの奪還と解放に向けた軍事訓練を行う、堂々とな。時は今だ! 我々は、人が誰しも望み、主張することを求めている!」

【その時、誰かがやってくる。見ると、白旗を掲げたスノウ・ホワイトだった】

ブレア・ラビット「おい、あれは何だ?」

モグラ「誰か来る。スノウ・ホワイトだ」

【ゴルディ、狙撃用ライフルを構える】

ゴルディ「ダン、許可を。一発でやってみせるわ」

ローズ「頼むからちょっと待ってよ。白旗を掲げてるじゃない」

【集会者たちの前まで来ると、スノウを手にしていた旗を捨てて言う】

スノウ「全員、銃を捨てて解散しなさい。あなたたちの言う革命は終わりよ!」

ウサギ「何だって?」

ニワトリ「従うわけないだろ!」

子クマ「こっちは銃があるんだぞ」

スノウ「ホントにおバカさんたちね! 私はフェイブルタウンを動かしているスノウ・ホワイトよ。銃なんかいらないわ」

【スノウ、ポケットからトランシーバーを取り出し、ひと言】

スノウ「納屋を燃やして」

【すると、上空から巨大な炎が放たれ、納屋は燃え落ちた。一同が空を見上げると、そこには谷で眠っていた巨大なドラゴンが舞っている(翻訳その10参照)。また、よく見るとドラゴンの首には無線機を付けたウェイランドが騎乗している】

ネコ「マジかよ!」

セイウチ「クソッタレ!」

スノウ「私に何かあれば居住区の建物を燃やして。その中の住民も、逃げようとする人も全員ね」

ダン「どうする?」

ローズ「どうしようもないわ、完全にやられたわよ」

【さらにトランシーバーで指示を出すスノウ。ウェイランドがそれに応える】

スノウ「三兄弟をここに移動させて」

ウェイランド「もう配置済みだぜ」

【すると今度は、ドラゴンとともに谷で眠っていた3人の巨人たちが、決起集会の広場を取り囲んだ。その姿はビルのように巨大で、ひざを曲げて身をかがめていても家屋の倍以上の大きさがある】

スノウ「最後通告よ。銃を捨てて解散しなさい。もう終わり、あなたたちの負けなの! 家に帰りなさい!」

【場面転換。スノウらを助けに出向いたブルーボーイたちの車内】

ブルーボーイ「もっと急げない? スノウとローズが危ないかもしれないんだ。立ち止まってる余裕はないよ!」

青髭「お前が道を間違えたりしなけりゃよかったんだがな」

ブルーボーイ「わざとじゃないよ。僕は都会暮らしなんだから、どうして遠く離れた国道の道順なんてわかる?」

プリンス・チャーミング「座ってバフキンの面倒でも見ててくれよ。イライラさせないでくれたまえ」

青髭「できれば座ってさえほしくないんだがね、新しい革張りのシートなんだ」

【クルマがようやくファームの近くまで来ると、煙が立ち上っているのが見える。さらに近くまで来ると、3人の巨人たちの姿も見え始めた】

ブルーボーイ「見て! 何か燃えてる!」

ブルーボーイ「しかも三兄弟たちまで起きてるよ!」

青髭「どうなってやがるんだ?」

【ファームの入り口にブルーボーイたちの車が到着する】

ローズ「あら、ようやく“騎兵隊”のお出ましね」

ブルーボーイ「何が起きてるんだよ。スノウ、無事なの?」

プリンス「俺たちは…あー…君を助けに来たんだがね」

スノウ「落ち着いてよ、トラブルはあったけど片付いたわ。妹と他のみんなも拘留してある」

ローズ「そう、私はまた悪者側についたってことね」

スノウ「でも注意して。このバカ騒ぎの首謀者のひとりは、混乱に乗じて逃げたわ。ゴルディロックスよ。まだそのあたりにいるはず」

スノウ「それと、最後に見たとき彼女は武装していたわ」

【そう話すスノウを、離れた場所からライフルのスコープで覗き見るゴルディ】

ゴルディ「でしゃばりのクソアマめ」

彼女はスノウの頭に狙いをつけ、銃のトリガーを引く。弾丸はスノウの頭部に直撃した】

ローズ「スノウ!」