Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その16)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

【病院でブルーボーイと医師のスウィンハートが話している】

スウィンハート医師「なぜベッドから出るんだ、ブルーボーイ」

ブルーボーイ「フェイブルタウンへ行こうとしていただけです。もうすぐ戦いがあるんですよ、先生。こんなところで寝ていられない」

スウィンハート医師「バカなことを」

【ブルーボーイは包帯でぐるぐる巻きにされた自分の手を見つめる】

ブルーボーイ「これを見てください! あいつらが僕の手にしたことを! もう二度とトランペットを吹けないなんて、考えられますか!?」

スウィンハート医師「私は世界でも指折りの外科医だ。手術すれば回復する見込みは…」

ブルーボーイ「あいつら、ただじゃ済まさないぞ!」

【スウィンハートの言葉も聞かずに、病室から出ていくブルーボーイ。しかし、患者衣であることに気づいてすぐに引き返す】

ブルーボーイ「あー…、とりあえず服を着た方がいいですかね?」

【場面転換。ウッドランド・ビルの13階で、スノウと魔術師たちが話し合っている】

スノウ「実戦であなたたちの力を借りられて嬉しく思います。しかし残念ながら、あなた方の強大な魔力を発揮するのは、もっと危機的な戦いのときでしょう。そんな戦闘になったら、たとえ勝利したとしても現世人に気づかれてしまい、すべてを失ってしまう。それは何としても避けたい。失うには多すぎる年月を、この街で過ごしてきた」

スノウ「あなた方の仕事はたたひとつ。これから数日間、フェイブルタウンで起きるゆらゆる出来事を、現世人たちに気づかれたり、記憶されたりしないようにすることよ」

【魔術師グループの代表である、魔女のフラウ・トーテンキンダーが応える】

フラウ「そいつは、かなりカネのかかる高等魔術だよ。タウンにそれだけの支払いができるのかい?」

※フラウはおとぎ話に登場するさまざまな“森の魔女”を体現するキャラクター。人間の老婆と変わらない姿をしている。

スノウ「これは公式に発表された、フェイブルタウンの緊急動議よ。他の健康で丈夫なフェイブルズと同様、あなた方も責務を果たすために召集されています。盟約書を読むことね。この戦争の間、魔術師も無料で働かなければならない」

【しばし思案する魔術師たち】

フラウ「よろしい。ぜひとも協力したいわ」

スノウ「よかった! じゃあ具体的に何をどうするか、打ち合わせましょうか」

【場面転換。ウッドランド・ビルの外では、バリケード建設が進んでいる。そこへファームからのトラックの列が到着した】

ローズ「みなさーん、ファームのフェイブルズが到着したわよ」

フライキャッチャー「やあ、ミス・レッド。君がファームへ行ってから、ずっとさびしかったよ」

ローズ「私もよ、フライ。あなたがゴージャスな色男だってこと、忘れていたわ。立っていなくてよかった。クラクラしちゃったかも」

【プリンスの姿を見つけ、ローズが話しかける】

ローズ「色男といえば、あなたにも感謝しなくちゃね。青髭をやっつけてくれてありがとう、プリンス・チャーミング。よくやってくれたわ」

プリンス「お安い御用さ。選挙の投票日だけ覚えていてくれ」

ローズ「で、どこに停めればいいの?」

プリンス「ウッドランド・ビルの庭園で荷物を全部下ろそう」

ローズ「あそこはトラスティー・ジョンが世話してる庭園よ」

プリンス「文句は言わないだろうさ。昨日の晩、銃で撃たれてまだ病院にいるからね」

 

Fables Vol. 4: March of the Wooden Soldiers

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