Lady Killer #3

※『Lady Killer』は殺し屋兼主婦のジョシー(ジョセフィン)を主人公にしたアメリカンコミックスです。周囲に殺し屋の顔を隠しながら、良き妻・良き母として毎日の生活を送るジョシーの姿が描かれます。

【自宅の地下にあるダンス室で、ジーンの誕生パーティーがおこなわれている。近所の若い夫婦たちがあつまり、思い思いに飲み、談笑している】

パーティー客たち「昔とは違うんだよ、ボブ……」「彼ったら貧乏で……」「酔ってないわよ、そっちがおかしいんじゃない?」「マティーニは誰が飲むんだ?」「この世で公平なのは現金だけだよ」「どこ触ってるのよ、奥さんが見てるわよ!」

【ジョシーは招待客たちの世話をしている】

パーティー客たち「誕生日おめでとう、ジーン」「ダサいって言ってるわけじゃないわよ。ただその黄色のドレス、似合ってないんじゃない?」「楽しいパーティーだな、ジョシー。このアンブロシアも最高だ」「レシピ、教えてあげるわよ」

ジョシー「大丈夫? ほら、もうやめておいたほうがいいわ」

【飲み過ぎで悪そうな女性から、酒を取り上げようとするジョシー】

女友達「ジーンが、もっとチェリーを持ってきてって。マンハッタンを作るって」

ジョシー「分かったわ。ルースを見ててくれる?」

【ジョシーは、酔っぱらった女性を他の人に任せ、上の階へと向かう。その途中、世h貸ししている双子に声をかける】

ジョシー「子どもは、もう寝る時間よ。言うこと聞きなさい」

子どもたち「おやすみなさい、ママ」

ジョシー「おやすみ。いい夢を見るのよ」

【明かりをつけてキッチンに入ると、中にはジーンの母がいた】

ジョシー「お義母さん、驚かせないでください。起こしてしまいました? 音楽がうるさすぎますか? 音を小さくするようジーンに言っておきますから」

義母「あんたのせいで眠れなかったね。あんたが言うような理由じゃないけど」

ジョシー「そうですか?」

義母「昨日はずいぶん長い間、外出してたじゃないか、私に子どもを押し付けて。何をしてたか知ってるんだよ!」

ジョシー「何をおっしゃりたいのか、わかりませんわ」

義母「あんたはホスピスで働いてるんじゃない。あの男と一緒にいたんだろ。いつもあの男の車が近くを走ってる。私が何も知らないと思ってるだろうけど、いつかジーンに自分がどんな女と結婚したから、分からせるよ」

【ドイツ語を交えながらジョシーに詰め寄る義母】

ジョシー「何かの間違いですよ、お義母さん。男なんていません。勘違いしているのでは。起こしてしまったことは謝ります。疲れて感情的になってるんでしょう、お休みになったほうがいいです。パーティーは静かにさせますわ」

【そこへ、先ほどの女友達がやって来る】

女友達「ジョシー? ルースが気分悪そう。コーヒーもらえないかしら」

ジョシー「ええ、いいわよ。チェリーを取ったらすぐ行くわ。おやすみなさい、お義母さん」

【チェリーの瓶詰めをつかんで出て行くジョシー。場面転換。ステンホルムのオフィスの前で、ペックが秘書らしき女性をナンパしている】

ペック「ドリス・デイに似てるって言われたことない? 似てるよ! きみのほうが彼女よりかわいくて、もうちょっと小悪魔っぽいけど」
ドリス・デイは1940年代~50年代に活躍した女優。

【と、そのとき背後からステンホルムがやってくる】

ステンホルム「ミーティングの予定だったと思うが、ペックくん?」

ペック「そうだった」

【ステンホルムは、ペックを自分のオフィスへ招き入れる】

ステンホルム「今度来るときは、スタッフにちょっかい出すのをひかえてもらえるとありがたいんだがな」

ペック「彼女のほうから色目を使ってきたんですよ。そのことを話し合うために呼び出したわけじゃないでしょう」

【ステンホルムの机にあるリンゴを勝手に食べようとするペック。ステンホルムはリンゴを取り上げ、代わりにファイルを渡す】

ステンホルム「知っての通り、私はミス・シュラーに関する直近の問題を調べた、個人的にな」

ペック「別段、驚くことでもないですね」

【キティ・キャット・クラブでの様子を撮影した写真を見ながら、ペックは応える】

ステンホルム「言葉に気を付けろよ、ペック。彼女の将来のポテンシャルをどう評価するか、これは慎重さが求められるんだ。結果として、私は心配している。ジョシーのような女は、将来的には我々にとって危険な存在なのだ」 

Lady Killer

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