2015年の漫画、映画、ゲームなど振り返り

社長のみなさーん、年末ですよー。年末振り返り企画として、今年の漫画・映画・ゲームなどから特に良かったものをザックリ紹介。 

映画『ジョン・ウィック』 

2015年新作映画は『チャッピー』『キングスマン』などを観ましたが、この作品が一番面白かった。かつ、一番自分の趣味にマッチしてた。殺し屋がキレて全員ぶち殺すという単純明快なストーリーなのに、アクションのカッコよさ、シリアスかつ殺伐とした雰囲気、セリフの応酬のセンス、映像&演出の上手さで、作品全体の満足度を底上げしてる。あとまあ純粋に燃えるよね、引退した凄腕の殺し屋が復讐のために立ち上がって、かつての仲間の協力も得ながら巨大組織と対決するというプロットは。本名ジョン・ウィック、あだ名はブギーマン、またはバーバ・ヤガーってカッコよすぎか。続編も計画中らしいし、期待できる。

映画『マッドマックス 怒りのデスロード』 

いい・悪いの価値観を超える作品がしばしば誕生しますが、2015年は『マッドマックス 怒りのデスロード』がそれでしょうな。最初から最後までハイスピード・ノンストップ・フルスロットルで、映画と言うか「体験」だった(っていうのは誰しも言ってるけど)。『ジョン・ウィック』と同じくらいストーリーはシンプルで、説明・解説も最小限。主役のセリフだって数えるくらいしかないのに、ビックリするくらい面白いっていうんだからワケがわからない。

ただひとつ言えることは、細部にいたるまで作り込みへの情熱度がハンパない。あらゆる小道具やちょっとしたセリフ、キャラの衣装や背景の映像が、マッドマックスの世界とキャラクターたちの心理を雄弁に物語っている。映画でしかできないこと、映画にしかできないことに、制作陣が真正面から本気で取り組んで・しかも成功させたという快作。

漫画『あもくん』(諸星大二郎) 

あもくん (幽COMICS)

あもくん (幽COMICS)

 

みんな大好き諸星先生の現時点での最新作。角川から出てた幽COMICSのまとめ。父親である「私」と息子の「あもくん」、その周囲で起きる異質な出来事を描いた連作短編。ちょっとした違和感からゾッとするようなオチに導いていく諸星テイストは健在。いくつかユーモア風味の作品もありますが、基本的には現実と恐怖のはざまに落ち込んでいくような、足元のおぼつかない雰囲気を味わえます。結構むかしの作品の所収だけど、単行本化は今年初なのでやっぱり外せないよね。 

漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル) 

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)

 

ツイッタのフォロワーさんがおススメしているので読んでみたら、近年まれに見る・なんとも形容しがたい異色作だった。舞台は開拓時代の北海道(蝦夷)。退役軍人&アイヌ少女とが、独立国家建設を狙う軍師団や死んでいなかった土方歳三らを相手に金塊争奪戦を繰り広げる、というのがストーリー。……なんだけど、実態は北海道の珍味を食いつくすジビエ料理漫画、かつアイヌ関連のトリビア紹介漫画としての描写のほうがインパクトあって、一種異様な面白さを醸し出している。スケールのデカい物語と、半径5メートルくらいの身近な話題が同居している感じ。

ヒロインの顔は時おり不細工になるし、実在人物をモデルにした奇怪なキャラが何の前触れもなく出てくるのも珍味のような味わいがある。ただ面白いだけではない、謎な作品。ぜひこのテイストを忘れずに突き進んでほしい。

漫画『衛府の七忍』山口貴由 

『エグゾスカル零』を終えた若先生の最新作。天下泰平を推し進める徳川幕府と、その支配に虐げられるさまざまな「まつろわぬものたち」の復讐を描いた、死山血河の怨霊忍法残酷絵巻です。時代考証も現実味も笑って吹き飛ばすようなありえない描写が満載で、外連味のあふれる戦闘シーンと発想の狂った必殺技が満載。羽毛なみに命が軽い世界観で、すぐ殺す・すぐ死ぬ・すぐ内臓が出るんだけど、根っこのところがどこかテンションおかしいいので、とにかく愉快痛快に読めるのが良いですね。『覚悟のススメ』や『蛮勇引力』、『エグゾスカル零』と同じ名前の登場人物も出てくるので、山口貴由ファンであればあるほど楽しめます。

OVAジャスティス・リーグ:ゴッド&モンスター』 

ジャスティス・リーグ:ゴッド&モンスター [Blu-ray]

ジャスティス・リーグ:ゴッド&モンスター [Blu-ray]

 

ブルース・ティム先生のプロデュースによるジャスティス・リーグOVA。リブートというか、ほとんどエルスワールドもので、スーパーマンはゾッド将軍の息子、バットマンはカーク・ラングストロム博士(マンバット)、ワンダーウーマンはオリオンの恋人ベッカという改変っぷりが見どころの一作です。正史とは全然違っててかなりバイオレンスだし人もガンガン死ぬ(そのシーンもがっつり描写する)。っていうか、この3人だって悪人とあれば命を奪うこともためらわない。

そんな3人が直面するのは、高名な科学者たちの連続殺人事件。武力だけでは太刀打ちできない強大な敵と陰謀、そして自分自身の苦悩に直面した我らがビッグスリーは、果たしてこの危機をどう乗り越えるのか……? 作画は相変わらずの高クオリティーだし、ブルース・ティム絵の素晴らしさも健在なので、人を殺すヒーローに抵抗がない人は必見。本編とは関係ないけど、解説映像でブルース・ティムが「NEW52は期待したほどユニバースに変化をもたらさなかった」みたいなこと言ってて笑った。

ゲーム『ウィッチャー3 ワイルドハント』 

ポーランド発、CD Projekt RED謹製のアクションRPG。自分はPS4版でやりました。ウィッチャーシリーズ今までやったことなかったんだけど、トレーラー見て「ええやん!」と思ったのね。で、買ってやってみたらこれがエライ面白くてびっくりした。主人公は特殊な能力を持つモンスターハンターのゲラルト。行方不明の恋人イェネファーと養女のシリを追ううち、世界の存続を脅かす強大な敵と対峙するはめに……というのがおおまかな物語です。

とにかくストーリーと世界観、キャラクターが見事にマッチしていて、どっぷり浸かれます。シリーズ初心者でもゼロから楽しめるよう、ところどころで重要なキーワードは説明してくれる(質問できる)のがよかったんだと思う。ゲラルトはいわゆる「しゃべる主人公」なんだけど、こういうユーザーフレンドリーさがあったので、しっかり感情移入できた。『ラスト・オブ・アス』以来といってもいい。小道具の作り込み、軽妙かつユーモアあふれるセリフの応酬、ハッピーエンドや単なるお使いに終始しないサブクエストの数々など、本当の意味で何度も楽しめる一作。

戦闘がやや単調なのと、インベントリ周りのUIの煩雑さがちょっとだけマイナスだけど、全体の完成度は非常に高いです。最後のDLC『血塗られた美酒』が2016年に発売予定なのでこちらも期待。あとスパイクチュンソフトによる日本語版ローカライズのクオリティーにも拍手。ほとんど洋ゲーと意識せずに楽しめます。ゼニマックスアジアも見習えよな。

ゲーム『FallOut 4』 

で、今年最後に買ったゲーム。『FallOut 3』からは8年、『FallOut: New Vegas』から5年を経て登場したシリーズ最新作です。核戦争後のボストンを舞台に、200年の冷凍睡眠から目覚めた主人公が、奪われた息子を探して放浪しまくるオープンワールドRPG。もちろんシリーズの特徴といえる自由度は変わらずで、メインストーリーを追うもよし、各地のロケーションで強力な武器を探しまくるのもよし、サブクエストしながら仲間とのロマンスを育むのもよしです。

おまけに今回はこれまで単なる無駄アイテムだったJUNK品を使って、武器改造と拠点開発までできる。拠点開発の自由度がかなり高くて、巨大アパートの建築、ライトボックスを使った看板設置、販売店や医療スペースの設置、自動タレットやトラップを使ったモンスター対策設備設置までできる。もちろんやらなくてもいいんだけど、荒廃したボストンを少しでも復興できるとなれば、やってしまうんだよなあ。主人公にフルボイスがついたことで完全なロールプレイはやりにくくなったけど、その分、演出やコンパニオンキャラとのやり取りが濃密になったのは前向きに評価したい。

あと、プレイしてすごく思うのが「もはや戦後ではない」ってこと。FallOut 3やNVでは、まだ核戦争の爪痕が色濃く残っていたけど、今作には「過去を振り返るのはやめて、いま・この世界で生きていこう」という雰囲気がそこかしこに感じられる。過去作では見られなかった青い空と、拠点開発というプレイングが、まさにその象徴じゃないかしら。バグや日本語版ローカライズの微妙さなどでマイナス点もあるし、不親切な面も見え隠れするけど、それを吹き飛ばすほどの魅力があるのは間違いない。あれこれDLCも出るだろうし、2016年の半年は遊べそう。

 

と、いう感じの1年間でした。今年も楽しい漫画、映画、ゲームをありがとうございました。制作者さんたちに感謝&ラヴ。来年も面白いものに出会えますように。それでは皆さま、よいお年を。