Fables vol.2 "Animal Farm" (翻訳その15)

※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。

【前回、ゴルディに狙撃されたスノウ。周囲に何もない、空白の世界に浮かんでいる。隣には生首状態になったコリンの姿がある】

スノウ「コリン、何が起きたの?」

コリン「簡単に言うと、俺の頭は切り落とされて飾られ、君の頭はライフルで吹き飛ばされたのさ」

スノウ「それで、私たちは今どこにいるのかしら」

コリン「そう言われると困ってしまうな。周囲に何もないことから考えると、リンボ(辺獄)か、それに似た待合室じゃないかと思うんだが」

スノウ「ということは…私は死んだの?」

コリン「状況から考えると、俺自身についてはそう願うね。ただ、君が完全に死んだかどうかは確信がない。君は息も絶え絶えの状態にある」

スノウ「どうするべきなのかしら」

コリン「分からないね。目覚めようとしてみたかい?」

【シーンが変わり、病室へ。頭を包帯でぐるぐる巻きにされ、ベッドに寝かされたスノウ。ベッドのそばにはビグビーが座っている】

スノウ「あ…うう…」

ビグビー「お帰り、スノウ」

スノウ「どえ…くらい…」

ビグビー「撃たれてからどれくらいたったのかって? ちょうど6週間、君は昏睡状態だったんだ。みんなで交代しながら看病して、今朝、コール老王と代わったばかりだよ」

スノウ「なに…が…起き…」

ビグビー「今はしゃべらないほうがいい。じっと横になっていてくれたら、ありがたいんだがね」

ビグビー「まあ、少しの間なら話しても大丈夫だろう。それからスウィンハート先生を呼んでくるさ」

【回想シーン。スノウが撃たれた直後の様子をビグビーが説明する】

<ビグビー「まだファームへの立ち入りが許可されていないから、大半は人づてに聞いたことなんだが…」>

<ビグビー「君が撃たれた直後の混乱に乗じて、革命派が再び盛り返すことも考えられた。だが、ブルーボーイや青髭、君の元旦那が素早くその場のコントロールを取った」>

【スノウを守るように囲み、ブルーボーイや青髭たちが革命派メンバーをけん制する。ローズが撃たれたスノウを抱きかかえている】

ブルーボーイ「下がれ、全員だ!」

青髭「静まれ! さもなきゃ誰であっても撃つぞ!」

【トランペットを吹き鳴らすブルーボーイ】

青髭「そのやかましいトランペットを止めろ! 味方だってことを忘れちまいそうだ!」

<ビグビー「バフキンだって手伝ったそうだぞ、俺には想像できんがね」>

【バフキン、ニワトリやトランプの兵隊といった小さなフェイブルたちを追い掛け回している】

バフキン「ニワトリを捕まえろ! 俺たちの迅速な正義の執行からは逃げられない!」

ニワトリ「僕は無実です! 濡れ衣です! あなたたちの味方ですったら!」

<ビグビー「とりあえずの秩序が回復したのち、反革命派のフェイブルたちがゴルディロックスの捜索に駆り出された」>

【プリンス・チャーミングを先頭に、ウェイランドやレイナードたちがゴルディロックスを探すために駆け出す】

プリンス「彼女はまだ近くにいると思うか? 1時間以上も逃亡時間を与えてしまった」

<ビグビー「捜索隊はゴルディが放棄した武器を見つけたものの、彼女はすでに姿を消した後だった」>

ブルーボーイ「永遠に隠れられるわけじゃないさ。彼女ならどこに逃げられそうかな?」

レイナード「ホームランドじゃないのは確かだね。魔王軍は、俺たちを同じくらい彼女の死を望んでいるそうだから」

<ビグビー「だが、ゴルディの失踪は大した問題じゃない。ファームの反逆罪をどうするか、目覚めたドラゴンと巨人の三兄弟をどうするかという問題に取りかからなきゃならん」>

【座ってうなだれている3人の巨人たち】

巨人のひとり「腹減った」

【再び病室へ】

ビグビー「彼らが目覚めている限り、一般人から隠しておくのは簡単じゃないからな。とまあ、今の段階で言えるのはこれくらいだ。君がついに目を覚ましたと報告に行かなくちゃならない。さあ、眠ったほうがいい」