※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
<チャプター7:バトル・オブ・フェイブルタウン>
プリンス「来たぞ! 食い止めろ!」
【バリケードに群がる黒服たち。プリンス・チャーミングとタウンの住民たちが、銃や剣などを手に、その攻撃を迎え撃つ。建物の窓からも狙撃が始まる】
タウンの住民たち「撃ち続けろ! やっちまえ!」「でも効果がないみたい! 銃弾じゃあいつらを止められない!」「なら頭を狙え! 目を撃つか、粉々に撃ち砕けば何も見えなくなるだろ!」「あら、私たちがアニー・オークレイになったとでも?」
※アニー・オークレイは19世紀末~20世紀初頭に活躍した女性の射撃名手。
【ウッドランド・ビルの前に南北に走るブルフィンチ通り。その両側にバリケードがある。スノウはウッドランド・ビルの階上から双眼鏡で地上の戦況を注視しながら、指示を出す】
スノウ「南バリケードは、まだ持ちこたえてるわね。でも戦力を増強しなければ長くはもたない。北バリケードの3分の1の戦力を…いや、待って! 命令撤回! キプリング通りからも来たわ」
フライキャッチャー「小火器じゃ効かないみたいです、スノウ。大型兵器を使うべきでは…」
スノウ「まだよ、フライ。敵が第一防衛線を突破するまでは」
フライ「バリケードが破られると?」
スノウ「もちろん。それは避けられないわ。近接戦になる前に、やつらにはバリケードを突破してブルフィンチ通りを占領してもらいたいのよ。そのほうが現世人に目撃されることが少ないし、魔法でそれを覆い隠すのも最小で済む。すべて作戦通りよ。怖気づく必要はないわ…今のところは」
【ついにバリケードが破られ、黒服たちが流れ込んでくる】
プリンス「バリケードが突破された! 下がれ、下がれ! フライ、北バリケードも下がらせるか、あきらめるようにスノウに言うんだ!」
【無線で連絡しながら、黒服たちと戦うプリンス】
プリンス「しくじったな、銃はほとんど効かない。やつらに奪われて、こちらに向けられるだけだ。ショットガンなら、顔に当たれば効きはするみたいだが…みんな、移動しろ!」
【フェイブルズらはバリケードを捨て、ビルの入り口を取り囲む自動車列の後ろへと後退する】
黒服「人間どもの抵抗は、早くも総崩れだな、兄弟」「そんなに早く降参するなよ。殺して再起不能にするのが俺たちの楽しみなのに」「あいつらが降伏したあとで大量殺りくしちゃいけないって理由はないだろ、兄弟」
【敵がバリケード内へと侵入するのを見るスノウら】
フライキャッチャー「ミス・ホワイト! 敵がブルフィンチ通りに来ました!」
スノウ「よし、グレネードを」
【スノウの指示で、手りゅう弾が投擲される】
プリンス「グレネード!」
【地上で戦う部隊だけでなく、建物の階上から手りゅう弾を投げる者もいれば、空中から投下するファームの鳥たちもいる】
タウンの住人「ピンを抜くのを忘れないでよ、ママ」「やってるわよ」
【戦況を眺めるスノウとフライキャッチャー】
フライキャッチャー「少しは効いてるみたいですね。でも手りゅう弾はもう使い切りました。もっと必要です」
スノウ「次はもっと効果的よ。体勢を整えるヒマを与えないで。大型兵士を投入」
【さらなる指示で、今度は建物に隠れていた大型のフェイブルズが参戦する。シロサイや三匹のクマたち、トロールの姿になったグリンブル、大型ゴブリンのホブズ、野獣形態のビースト、さらに巨大な木槌をもったウェイランド・スミスと、包帯で長剣をかまえたブルーボーイもやってくる】
ウェイランド「ヴォーパル・ブレードか、それ?」
ブルーボーイ「うん」
【大型のフェイブルズらが次々と黒服たちをなぎ倒していく。ブルーボーイもヴォーパル・ブレードを振るって敵を両断する】
スノウ「よし、いい感じよ。フライ、彼らが戦ってる間に、他のみんなをビルの前庭まで後退させて。それと忘れないで、後退する姿が敵に見えるように、あわてているように後退するのよ」
【スノウの指示を受けたプリンスが号令を出す】
プリンス「退却! 走れ、大急ぎだ!」
黒服「見ろ、臆病者の人間どもが逃げ出すぞ!」「続け! 勇猛な突撃こそ我らの武器だ!」「皆殺しだ!」「赤ずきんが生きたまま捕えろと言ったやつは除いてな」「確かに…じゃあほぼ皆殺しだ!」
【ビルの門へ殺到する黒服たちだが、門を抜けた先にはいくつもの大砲が待ち構えていた】
コール老王「発射じゃ」
黒服「おっと」「クソッ」「後退できんぞ」
【大砲の一斉射撃で吹き飛ぶ黒服たち。その体は粉々になり、煙と木片があたりに散乱する】
ウェイランド「わお、スゲエなスノウは。あいつを女傑と言わずして何と言おうか。初めての戦いでこれだって言うんなら、戦闘計画の才能があるんだろう。さて、おいオモチャの兵隊たちよ、まだ戦うかい?」
【しかし、煙の中から新たな黒服たちが何体も現れる。彼らは手にした銃器で、ウェイランド・スミスの胸を撃ち抜く】
黒服「もちろん、俺たちはまだ戦えるぜ」「こんなひっかき傷でビビるとでも思ったのか、貧弱な“肉”ども」「それとオモチャの兵隊ってのはどういう意味だ? バカにしたつもりか?」
ブルーボーイ「ウェイランド! 医療班、こっちに来てくれ!」
【倒れるウェイランドの姿を見て、ブルーボーイは救助を要請する。しかし彼もまた、背後から現れた黒服に肩を撃たれてしまう】
Fables Vol. 4: March of the Wooden Soldiers
- 作者: Bill Willingham,Mark Buckingham
- 出版社/メーカー: Vertigo
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