アバター 伝説の少年アン

ひさしぶりに作品紹介。海外アニメチャンネルのニコロデオンから生まれた『アバター 伝説の少年アン』です。ようやく観終わった。いやー、面白かった。

 

 

【あらすじ】

水の国、土の国、火の国、気の国の4つの国が、それぞれ独自の文化を発展させながら調和している世界。各国には、それぞれ水、土、火、気(風)を操ることのできる「ベンダー」と呼ばれる能力者がいた。そして4つの技すべてを操る者は、特別に「アバター」と称された。アバターは1つの時代に1人しか存在せず、その技と知恵をもって各国間の調和を保っていた。

あるとき火の国の王が各国への侵略を始める。大きな戦乱が起き、もともと少数だった気の国はすべての民が殺されてしまう。しかしアバターは姿をあらわさず、忽然と姿を消してしまった。

侵略から100年後、火の国はいまだ世界の覇権を狙い続けていた。そんな中、水の国の一部族として暮らすサカとカタラの兄妹は、南極の海で氷漬けにされていた少年・アンを見つける。彼こそが、火の国に滅ぼされたと思われていた気の国の最後の生き残りであり、新たなアバターだった。アンは火の国の侵略を止めるべく、カタラ・サカとともに成長の旅路を歩みだすことになる……。

 

【ここがグッド】

●多彩なキャラクター

本作は実にさまざまなキャラが登場する群像劇でもありますが、それぞれキャラが立っていて、単純に面白い。主役のアンはわずか12歳の救世主。遊びたい盛りで、世間知らずな彼だけども、100年間氷漬けにされており、目覚めたときにはすでに自国は滅亡している……という悲壮感も背負っている。そんな中でもなお、世界に秩序をもたらすべく奮闘していく。

アンを支える仲間たちも、それぞれ個性的。心優しいしっかり者の水のベンダーだけども、少し頑固さで意固地なカタラ。機転は利くけど、お調子者で考えなしのサカ。並外れた才能を持つ土のベンダーでありながら、わがままで協調性に欠けるトフ。それぞれが主役級に活躍するエピソードが設けられていて、彼らがおりなす友情と信頼関係、ラブも見どころ。

敵キャラも当然、キャラが立っている。ズーコ王子は火の国の後継者でありながら、国王から顔に大きな火傷を負わされ、しかも追放されたという複雑な過去の持ち主。名誉挽回のためにアンを捕らえようとする彼と、その彼を支える老将軍アイローの関係は、もうひとつの主人公と言ってもいいほど。

そのほかズーコの妹であるアズーラや、彼女の付き人であるタイ・リー&メイといった美少女系キャラもいるし、火の国に対抗するゲリラ、師匠のおっさんたちなどのサブキャラもわきを固めてます。

使い捨てキャラは少なく、前半の1エピソードで登場したキャラが、後半のエピソードでヘルプ役として再登場したり、キャラの成長に重要な示唆を与えたりと、味方キャラから悪者キャラまで配役に無駄がない。人と人との出会い・別れを、全52エピソードを通じて満喫できる構成になってます。

 

●バトルシーンの質の高さ

水、土、火、気の技の振り付けは、それぞれ異なる中国拳法の動きがモチーフ。なので、バトルシーンではカンフー映画ばりのダイナミックなアクションを楽しめること請け合い。当然、ただ殴る・蹴るだけじゃなくて、火の技・気の技を使って加速する、水の技・土の技で防御するなど「おお、こんな使い方をするのか」と驚きながら観られるのがグッド。単純な体術戦闘でも、関節を極めたり・壁走りで背後を取ったりと戦闘のレベルが高いです。城内、船上、飛行船の屋根、洞窟内などでの戦闘シーンも多く、ちゃんとそれぞれの舞台を活かして、立体感と納得感のあるアクションを見せるのが職人芸的で素晴らしい。

目まぐるしく動きながらも、どういう状況かわかりやすく、殺陣の見せ方がいちいち秀逸。気になる人は、Youtubeとかで「Avatar the last air bender fight」とでも検索してみてください。ネタバレになるかもなので動画は貼りませんが、海外アニメ=カートゥーンと思っている人ほど良い意味でショックを受けるはず。

 

●登場人物たちの成長

ストーリーとしては単純な英雄譚なんだけども、ゴールに至るまでのキャラクターたちの成長する姿に感心する。

前述のとおり、アンは12歳の少年。本来、無邪気な性格の彼にとって、アバターという役割はまさに降ってわいたような話。前半のエピソードでは、そこかしこで悪ふざけしたり、遊びに出かけたりしている。しかしそれでも、苦しんでいる人々の姿を目にし、自分を信頼してくれる仲間たちの声を受けて、挫折も困難も経験しながら、一歩一歩成長していく。最後の最後まで悩み、自分らしいベストを模索する姿が、等身大のヒーローという感じで共感を覚える。

もちろん成長するのはカタラやサカ、トフといったキャラも同じ。「頑固で堅物」「特別な才能がない」「周囲に合わせることができない」……。そんな誰にでもある悩みを自覚し、直面しながらも、周囲の助けも得ながらそれを乗り越えていく。『アバター 伝説の少年アン』が幅広い世代に受けたのは、やはりここらへんがうまく描けていたからだと思う。

成長という意味では、ズーコの描かれ方が最高だった。敵であるアンを追いかけながら、自らの宿命を見つめ直し、叔父の言葉に導かれ、最後には自分の意思で真の王道を歩み出す。その変わりように、どことなく漫画版ナウシカクシャナ王女を思い出してしまった。

 

という感じで、キャラクターもアクションシーンも、物語も楽しめるのが『アバター 伝説の少年アン』です。マイナス点は、ラストがほんの少し駆け足気味でアッサリ風味だったことと、いくつかのシーンにご都合主義があったことかしらん。まあ気にするほどでもないし、それを補って余りあるプラスの点があるので。

つーわけでぜひ皆さんに観てほしいんですが、なんと日本語吹替えで観賞するには、Amazonビデオを利用するしかないんですよ。日本語字幕版もない。これが一番のマイナスポイントかも。Amazonプライム会員なら無料で楽しめますが、そうでないなら視聴料金を支払うか、思い切ってAmazonプライム会員になるか…。英語に自信のある人なら、海外版のDVD・BDを買うのもありです。

まーともかくオススメであるのは変わりないので、一度観てくださんせ。僕は続編の『Legend of Korra』へと移行します。 

 

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AVATAR: THE LAST AIRBENDER - THE COMPLETE SERIES

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