高橋葉介って好きなんです。
いや、平素からこぞって新刊を買い集めたり、
作品リストを作ったりするような熱烈なファンってわけじゃあないんだけど、
たまーに古本屋で未読の単行本を見つけたりすると、つい買ってしまう、そんな好き具合。
居酒屋のメニューに例えるなら、たこわさ。
市販のお菓子に例えるなら、プリッツ(サラダ味)。
極端なハズレが少なく、しかもこの作者にしか出せない味わいがある。
というわけで今回は『学校怪談』。階段じゃないですよ、怪談です。
タイトル通り、学校をテーマにした、あるいは舞台にしたオムニバスホラーです
1話読み切りで各10ページ程度と、さくっと読めます。
単行本5巻(文庫版だと3巻)までは、特に主人公的な立ち位置のキャラはおらず、
いろんなテイストのショートホラーがメインに描かれます。
それ以降は、主要キャラクターを据えたうえでのエピソードがメイン。
主人公の山岸少年と魔女教師の九鬼子先生を中心として、
正統派のホラーもあれば、コメディ的なドタバタホラーまで、なんでもあり。
まあここまでだと、「へー」としか思えないかもしれませんが、
その1話読み切りショートホラーを5年間、264話も続けたっていうんだからスゴイ。
1日1話ずつ読んでも、8か月以上かかる計算だべ。
しかも上で書いているように、いろんなテイストのホラーを、です。
純粋にゾッとさせる正統派怪談から、オチを効かせた都市伝説風のエピソード、
セリフなしで進める無言劇、抒情味のある“いい話”系、勧善懲悪の対決もの、
キャラの性格を前面に出したスラップスティック、
さらには地方の言い伝えに残ってそうな荒唐無稽なオモシロ話まで。
いやはや、なんてったって264話だからね、百物語なんてメじゃねーぜ。
もちろんこれは『学校怪談』に限った話ではないけど、
ショートストーリーの名手としての作者の才能が、如何なく発揮されてます。
お話作りに興味がある人は、ぜひ読んでみてほしいです。
オチの付け方、少ないページ数での構成、“間”の取り方など、よく練られてる。
いま買うなら文庫版が手に入りやすくてグッドです。。
1話読みきりなので、ちょっとずつ買い集めても問題ないし。
寝る前に読みたい珠玉のホラーとして、一家にワンセット。おススメ。