今でこそ洋ゲー、すなわち海外ゲームは
コンシューマー機でも気軽に触れられるようになってます。
ローカライズもきちんとなされ、話題作は話題作として紹介され、
ゲームショップの店頭にも、それ相応の数が入荷される。
でも昔はそうじゃなかった。少なくとも、10年前から15年前は、
コンシューマー機で洋ゲーを楽しんでいたのは、年季の入ったゲーマーだけだった。
それが現在では、気軽に手にとって遊ぶことができる環境になっている。
どこにターニングポイントがあったんでしょうか。
『Grand Theft Auto III』がそれだった、と俺は見ています。
本作はアメリカのゲームメーカーRockstar Gamesが手掛けた、
女に裏切られ、すべてを失った犯罪組織の元幹部となって、
さまざまな依頼(おもに犯罪行為)をこなしながら復讐を目指す、というもの。
マップは非常に広大で、ビルも街を歩く人々も単なる背景ではなく、
ちゃんと実際のオブジェクトとして存在している。
ビルの物陰に隠れれば銃弾を避けられるし、
群衆の近くで発砲すればクモの子を散らしたように逃げ惑う。
物理演算もきちんと処理されており、カーチェイスでクラッシュすると、
車体が盛大に回転するなどの描写も拝めます。
オープンワールド系ゲームとしては最初期の作品ですが、
PS2のマシンパワーと技術を考えれば、現在でも十分遊べるレベル。
俺と同じく、30歳前後でそこそこのゲーマーであるなら、
本作が初めてのオープンワールドゲームだという人も少なくないと思うんだけど、
かなりの衝撃だったことを記憶してます。
それまでの洋ゲーにありがちだった操作性の悪さはほとんどなく、
すぐにリトライ可能だったり、セーブ時間&ロード時間も許容範囲だったりと、
システム面でも一定以上のレベルに到達している。
本作を遊んでいて思いつくのは、
「やりたいことに技術が追いついたんだなー」という素直な感嘆。
本物のアメリカの都市を切り取ったような世界観と
ハードでシビアでアダルトな物語、現実世界の楽曲を使用したBGM、
そして自由度にあふれたゲームプレイと、
それを実現させる技術力&システムが高度に融合しており、
海外ゲームにしばしば見られた「アイデアだけが先行している」なんてことがない。
頭の固い人たちからは「暴力的だ」と批判されがちな本作ですが、
このように、ゲームとしての完成度が非常に高いわけです。
実際、PC版とXbox版を含めて全世界で1400万本以上を売り上げ、
しかも日本でもカプコンがローカライズして30万本のヒットとなった。
この作品を契機にして、日本国内でも「洋ゲーってすげくね?」みたいな声が
比較的ライトなユーザーの間でも聞かれるようになり、
そうして、現在のような洋ゲーに親しみやすい環境を作ったのだと、俺は考えてます。
そういう意味では、コンシューマー機における洋ゲー普及に一役買った、
偉大な先駆者と言える作品でしょう。5つ星。