Fables vol.4 "March Of The Wooden Soldiers" (翻訳その13)
※『Fables』は、おとぎ話を題材にしたアメコミです。悪の勢力によって、おとぎ話の世界“ホームランド”から追放されたさまざまなキャラクターたちが、現実世界で素性を隠しながら生活しています。キャラクターたちは自らをフェイブルズと称しています。
【ブルーボーイは、ニセの赤ずきんと黒服たちとに捕えられ、拷問を受けていた】
ニセ赤ずきん「自分で自分をほめていいわよ、そんなに耐えられるなんて。ホントにたいしたものね。本物の赤ずきんが、一発でホレたのも分かるわ。あの女、いまでも時々あなたのことを話してるのよ。もちろん、あなたが生きてるとは思ってないけどね」
【ブルーボーイは丸裸にされたうえで拘束具を付けられている。体中あざだらけで、あちこちから血を流している】
ニセ赤ずきん「あなたが生きてたのは、私たちにとっても衝撃だったわ。でもどうしようもないわよね。私たちの諜報員は万能じゃないもの。できれば赤ずきんとして数年は過ごしたかったんだけど、不幸にも本物の赤ずきんをよく知っているあなたとビグビーに出くわしてしまったのよ」
ニセ赤ずきん「というわけで、不本意だけどごまかすのはやめにして、実力行使に出たというわけよ」
黒服「ブルーボーイには聞こえていないと思いますよ、ボス」
ニセ赤ずきん「聞こえてるわよ、かすかに。あなたたちの“木製の感覚”は、私ほど鋭くないみたいね?」
黒服「我らを侮辱されるのですか?」「余計なお世話ですよ。もちろんあなたのミッションは十分に理解していますが」「しかし我らは皇帝に選ばれたエリートだということを、どうぞお忘れなく」「皇帝陛下の想像力から生まれた、真の息子なのです」
ニセ赤ずきん「気を付け!」
【ニセの赤ずきんは、まくしたてる黒服たちを一喝する。黒服たちはいっせいに吹き飛ばされ、その場に倒れる】
ニセ赤ずきん「お分かりいただけたかしら、皆さん?」
黒服「お許しください、ボス」「口が滑りました」「あなたは、皇帝陛下の一番の恩寵を受けている女性でした」「どうかお許しください」「ご命令を」
【そう言ってブルーボーイに詰め寄る黒服たち】
黒服「有益な情報が得られないのであれば、この瀕死の人間を殺してしまいますか?」「死体を刻んで、シチューポットに入れるとか?」
ニセ赤ずきん「普通の人間の赤ん坊のほうが、柔らかくて好きだわ」
黒服「この街なら、赤ん坊を盗み出すのは驚くほど簡単です」
ニセ赤ずきん「ブルーボーイにはもっと効果的な使い道があるわよ」
【場面転換。深夜、スノウのアパートに電話がかかってくる。寝ぼけまなこで受話器を取るスノウ】
電話の声「スノウ、全員死んでるぞ!」
スノウ「誰? なんなの、こんな真夜中に?」
ビグビー「俺だ、ビグビーだ。北カナダのゲートにいる。ここの衛兵たちは全員死んでる。全滅だ」
【サスカチュワンのゲートには、数人の衛兵たちの死体が転がっている】
スノウ「ゲートの警備状況は?」
ビグビー「門は反対側から開かれてる。雪に残された跡から判断すれば、複数の車両がここを通過したようだ。最低でも3台以上のトラック。洞窟のエントランスから道路へ出る際に混雑したみたいだな、すでに通り抜けたあとだが。スノウ、最悪の事態──敵の襲撃に備えろ。フェイブルタウンを封鎖するんだ。俺のオフィスの机の下に、緊急対応ファイルがある」
スノウ「あなたはどうするのよ!?」
ビグビー「早急にゲートを破壊する。奴らに気づかれるような痕跡は残さないさ。こちらの洞窟も壊せるだろう」
スノウ「早く帰って来て、ビグビー」
ビグビー「まだ仕事の途中だ。それまで耐えろよ」
【再び場面転換。拳銃とショットガンに銃弾を装填する黒服たち】
黒服「準備はいいか、兄弟?」「期待に胸が震えるよ、兄弟」「大勢の人間どもに銃弾を撃ち込めるのが、楽しみで仕方ないな」
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Bill Willingham
Vertigo
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