名言の宝庫としての漫画『シュトヘル』
伊藤悠による漫画『シュトヘル』。モンゴル国によって滅ぼされつつある西夏文字を救うために旅を続ける少年・ユルールと、モンゴル国への復讐に生きる女戦士・シュトヘル、そんな2人を取り巻く無数の人々と思惑とが苛烈に交錯する壮大な歴史ロマンです。スピリッツで絶賛連載中、現在12巻まで刊行。
さてこの作品、第1巻から示唆に富むセリフや熱く胸を焦がすセリフが炸裂しまくっており、さながら名言の宝庫状態。なので、特に好きなセリフをピックアップしまくってみました。ただそんだけです、ハイ。
「文字は生き物みたいだ。記した人の思い 願いを伝えようとする。その人が死んでも 文字は、託された 願いを抱きしめているようで…生き物みたいだ。焼かれると、つらい」ユルール
「ここに生きていたことを誰かに伝えたいと、そう思うのがおれだけじゃなかったから、文字は生きてきたのじゃないか… 殺されるのは怖いよ。…本当に怖い。だけど文字が殺されていくのは、もっと怖い。」ユルール
「生涯をかけた仕事は命そのものになる。命をかけるべきものになる」グルシャン
「命をかけるべきものがあるという言葉は病だ。この病が跋扈する度に大勢が死ぬ。この病の者は目の前の人間を見ない。人間を道具とし恥じることもなく同胞・眷族を顧みない」ハラバル
「おまえはさあ やさしいからさあ、そういうのがいちばんいいよ。いつまでもやさしいのをやめられないやつが、あきらめられないやつが多分、―――未来を、つなぐんだよ」スドー
「お前は子供だ。卑怯も、──裏切りも許す。…ただ 恥だけは知っておけ」ハラバル
「あれは、物差しなしの生き物だ。美しいと思いませんか」アルファルド
「誰もがそれぞれ物書くようになると、それぞれの経験、感じ方、考え方をそれぞれが知る。それでまたそれぞれ物書いて、そういうのが広がってって、広がってくと最後は──国とかって一部の、えらい人だけのもんじゃなくなるんだ、多分」スドー
「いかなる王の世にあるか、の偶然のみが人の幸、不幸を決めるなんて。これこそが、無念じゃないか。おれはくやしい。何千年とそれが続いているから、それだから従うというのは」ユルール
「文字は多分──人と人が扶(たす)け合うしくみを作ることもできる。どんな王の世でも、王の不在でも、いつ現れるかもわからない”すぐれた王”の、来るのかもわからない救いを待つまでもなく──人々自身が人を救う。いつでも」ユルール
「ああしたい こうしたい、食いたい飲みたい 寝たい欲が、いわば楽しみを求める心が世を決めている」ナラン
「欲が満たされるのは一部の人だ。そこに楽しみがかたよるために苦しむ人もいる。満たされた一部がそれを見ずして世を決めれば、取り残された太部分の心は乱を求める」ユルール
「小僧は間違いなく、あんたの宝なんだろう。食うので手一杯、生きるので手一杯になって、そういう宝を捨てちまったら、俺たちはその辺にただ生えて、牛馬の小便ひっかけられてる草と変わりねえ」烏木
「誰かに出会え。…出会いが生きなおさせる」シュトヘル
ナラン「弱者の目線ばかり持つな。敗者の側からは いかにあがいても、文字を持って民が民を救うとかいうおまえの夢は、千年かなうまい」
ユルール「目前でかなう夢だから、見ると思うか」
「誰もが自分の出来事と心を記したなら。それを集められるだけ集めれば…そのかたまりは誰のものでもなく、何色にもならない。その出来事と心のかたまりで、時代というものさえ読めるようになるかもしれない。文字で記すのは――出来事と心なんだ…」ユルール
「考えることを捨てたら子供と一緒だ。きみも、おれもだ。何も提示せずに殺したり壊したりするだけなら、やっていることはきみの憎む相手と同じだ。殺すとか壊すじゃなくて、伝えるとかつなぐとか、そういう生き方だってあるはずだ」ユルール
「今日を生きる者のためでなければ、死屍を越えては往けないのだ」ハラバル
「勝者の筆の記したものは常に、敗者からすれば偽りに満ちている。いつ誰が筆を得ようと。ひとつに限られた勝者の筆を取り合うかぎり、記されていくのは常に誰かにとっての偽りだ。だからこそ筆を、どこまでも増やすんだ。数も、種類も」ユルール
「きどって死ねた方がえらいのか。犬に食われ間抜けに死んだなら、その男の生きてきた年月も間抜けというわけか! 無惨に死んだなら生きた年月も、無惨か。どう死のうが生が先だ。食って寝てそこにいた。いつも生が死の先を走る。死に方は生き方を汚せない」シュトヘル
やっぱりユルールのセリフが多めだな。この少年はブレない上にバカ正直なので強いです。もっともっとあるんですが、これ以上書くと引用の範囲を超えてしまいそうなので、こんなところにしときます。多すぎて書ききれないというのものある。ひとつでもピンとくるセリフがあれば、ぜひ単行本を買って読んでください。面白さ保障しますよ、いやホント。
にっき
最後にブログで近況報告したのいつだっけ? ツイッタがあるからいいんだけど。
・で、挙式したんだけど。自分で言うのもなんだけど、なかなかいい式だった。適度に盛り上がって、適度に厳粛で。人数もちょうどいいくらい。やはり地元スタイルでやるのがいいな。いちいち気を使わんでよい。
・ずーっと式までの間、土日・祝日はずっと事前準備してたわけだけど、これがまあ疲れる疲れる。出欠確認したりプログラム組んだり、余興やスピーチのお願いしたり、席次表を作ったり、招待状送ったり……。もうやるのはええわ。
・ああいうのって「こういう風にしようね」って合意を得るまではいいんだけど、それだけで決めた気になってるのが一番よくない。「何を・どうするのか、必要なもの・ことは何か」みたいな細かい部分まではギリギリまで決めてなかったりするからな。決めた気になってるだけってのが多い。やりたいことがあったら、もうきっちり時間とって細部まで決めないと意味ないのだよね。
・ま、さっきも言った通り、よい式ではあった。参列者の皆様に感謝と幸運を。
・仕事は忙しい。忙しいと言うか面倒くさい。余計な仕事ばかりが増えていく。久しぶりに土日に仕事を持ち帰ったりしている。別にいいんだけど。
・こないだ映画『オデッセイ』観ましたが、なかなか良かった。いささか駆け足感があったのが気になるけど、演出もよし、演技もよし、映像も秀逸、サントラも豪華と見ごたえがある。観れば元気になる映画。
・ワトニー君に恋人も妻もいないというのが良いよね。愛だのなんだの言う前に、とにかく目の前の困難を見据え、現状を少しでも改善しようとする……。その人間の姿は、普遍的な希望そのものだと思う。原題の『火星の人』というのもカッコいい。
・クソ寒い冬が終わったと思ったら、今後は花粉ですよ。今年はなんか目にくるな。常に涙目でしょぼしょぼする。涙が出過ぎでまぶたのところがヒリヒリする。
・スギをジェノサイド。
・相変わらずFallout 4やってる。プレイから3か月が経とうというのに、相変わらず楽しい楽しい。一応メインストーリーはクリアした、ミニットメンルートで。いつものごとく、ラストは割と淡白。まあ気持ち気持ち。
・まだコンパニオン全員を仲間にしていないのよね。ケイト、ハンコック、ストロング、キュリーが残っている。一人ずつ仲間にして、一人ずつ好感度マックスまで上げていくスタイルなので、ちょっとずつだわ。
・今後のDLCだけど、日本語版はどうなるのかね。ベセスダから発表はされたけど、日本語版のことは公式でも触れられていないぞ。先行して見つかった新実績が日本語化されてるから大丈夫だとは思うけどさ。
・全然話変わるけど、海外アニメの『アバター』、日本語版がAmazonプライムで観られるんだよ。ちょっと気になる。
・でもDVDとして手元に置きたいという気持ちもある。
・それにしても海外アニメの日本語版、目にする機会が増えたな。気のせいか?
・今月は入院があります。石を砕いてくるんですよ。別に入院はいいんだけど、それに合わせたスケジューリングで仕事しないといけないってのが面倒だ。前倒し前倒しでやらんと、退院と同時に忙しさで死ぬ。
・はー、貯金しねーとな。毎月の振込額を増やすか。
以上。
才能もない、努力もできないんだから
そりゃもう、工夫するしかないだろ。
もっかい言う。越えられない才能の差を超えるためには、努力しても埋められない穴を埋めるためには、工夫するしかないのだ。頭の良さで勝負するってことではないよ。できるやり方、どうにかするやり方、自分にあったやり方を見つけるために、ある知恵も・ない知恵もしぼれってことです。使えるものは全部使え。
具体的には ①人や道具を頼れ
特に何もせずとも、決まった時間に目が覚める人がいます。これは才能。決まった時間に起きる生活を繰り返して、自然とその時間に起きられるようになった人もいます。これは努力。
で、工夫する人は、目覚まし時計をかける、しかも必ず起きるように2~3個セットする。別に目覚まし時計じゃなくて、誰かにモーニングコールを頼んでもいい。朝起きるのは変わらず苦手なままでも、とにかくまず目は覚めるだろ。これと同じように、「できないことはできない」んだから、何かほかの力を拝借しろ。
今の時代、スマホやPCの力を借りるのが一番身近だ。別に専門的なソフトじゃなくていい。スケジューラー、タスクシート、音声メモなど、簡単なアプリでも適宜使いこなせば仕事のやり残しやアイデアの記録忘れがなくなる。特にスケジューラーは活用すべき。脳のメモリ節約につながる。
具体的には ②時間を管理しろ
時間があればあるほど、工夫できる余地が生まれる。時間をただ過ぎるに任せるのはNG。意識してコントロールできるようにする。細かな具体的方法は以下。
- 各作業や工程に自分がどれほどの時間をかけているのか、把握する(大事)。
- 5分でも3分でも、空いた時間にやれる仕事を見つけておく。ちょっとした掃除でも、頭の中で次の予定を組むのでもいい。
- キツキツ、ギリギリの予定は組まない。余裕を持って・最悪の事態を想定して計画を組む。そのためにも前倒しで進める意識が必要。
- 「いつまでに終わらせるか」じゃなくて「いつから始めて、現実にいつ終わるか」を意識する。実際にやってみてその時間内に終わらなければ、あらためて上記1の見直しをしろ。
今のところ時間だけは万人に同じだけ与えられている。時間があれば才能の差もひっくりかえせるかもしれん。
具体的には ③適した環境を作り、そこに身を置け
例えばダイエット。
運動する必要があるんだけど、スポーツクラブには入るな。どうせ三日坊主で辞めるんだから。それよりまず電車の定期券を捨てろ。次に自転車を買え。そしてチャリで会社に行け。ソファーもイスも座布団も捨てろ。エアロバイクを買ってそれに腰掛けろ。食費は1か月分、全部まとめてプロテインやオートミールなどを買え。買い食いが心配なやつは、余計な小銭を持つな。体重計は玄関か洗面台の前に置け。体重データをスマホに転送してくれるやつだと、なおいいかもな。
まあこれは極端な例だけど、とにかく、成し遂げたい何かをなすのに最適な環境というものがある。それを構築しろ。「いやがおうでも努力せざるを得ない環境」や「自然とそれができる環境」を目指せ。
具体的には ④勝てる土俵を見つけ、そこで勝負しろ
一番むずかしいかもね。例えば……
- 美麗なイラストでは神絵師に勝てないから、あえて政府広報に使われるような素朴な絵柄のイラストを強みにする。
- 人を感動されるような文章のセンスはないけど、とにかく締め切りだけは必ず守ったうえで納品して、しかもギャラも良心的。
- 営業スキルはいたって普通だけど、ビジネスレベルでの英語の読み書き・スピーキングができる。
みたいな話。「競うな 持ち味を生かせッッ!」のひと言で済む。
でも競いたがるんだよね、みんな。そういう場合、競うことが目的化しちゃっていることがほとんどなので、最終的にどうありたいのかを自覚することが大事。「いや、どうしても競いたい」ってんならそれはそれでいいけど。
おわりに
「才能がないな」と気づいたら努力しろ。「努力できないな」「努力するのが面倒だな」と一瞬でも思ったのなら、その瞬間から自分は凡人だと自覚しろ。凡人だと自覚したら、工夫しろ。やればできるなどと思うな。やった努力はだいたい実るけど、明日の自分が努力する確証はどこにもない。未来の自分を当てにするな。
凡人が「天才」や「努力の鬼」に打ち克つには、工夫するしかない。工夫することは、怠惰な人間が生き残るすべである。
Lady Killer #8
※『Lady Killer』は殺し屋兼主婦のジョシー(ジョセフィン)を主人公にしたアメリカンコミックスです。周囲に殺し屋の顔を隠しながら、良き妻・良き母として毎日の生活を送るジョシーの姿が描かれます。
【前回からの続き。ステンホルムとペックをおびき寄せるため、ジョシーはひと気のない建物の中に移動してきた。ジョシーは両手にナイフを取り、ペックとその部下たちと対峙する】
ペック「銃は使うな。誰かに気づかれるかもしれん」
【ジョシーに飛びかかるペックの部下たち。ジョシーは巧みなナイフさばきで一人ずつ血祭りに上げていく。またたくまに3人の刺殺体ができあがった】
ペック「おいおい、ジョシー。せっかくそいつらを連れてきてやったのに、こんなふうに俺に恥をかかせるなんてな」
【そのとき、拳銃をかまえたルビーがジョシーのうしろから現れる。ルビーはペックに狙いをつけたままジョシーに話しかける】
ルビー「やったわね。あなたはアーヴィングのところへ行って」
ジョシー「それは想定外の行為よ」
ルビー「私とペックの間には因縁があるの」
ジョシー「計画通りにしなさい、ルビー」
ルビー「あなたの意見は聞いてない」
ジョシー「いいわ、でも素早くやりなさい。気を付けて」
【その場にルビーを残して去るジョシー。その足で、ステンホルムがいる部屋までやって来た】
ステンホルム「誰が来るか待っていたが……きみとはね。少々失望したと言わざるを得んな。これだから、この種の仕事は権限委任すべきだと言うんだ」
ジョシー「私を殺す命令、取り下げてもらうわ」
ステンホルム「きみがどう望むかなんて、私には関係ない。きみがこうしてこの場所にいられるのは、誰のおかげか忘れたようだな。きみのような女は、我々のビジネスについて何もわかっちゃいない。立ち去って、おままごとでもしたらどうかね?」
ジョシー「こうして丁重に頼んでいるのよ。命令を取り下げなさい」
【ステンホルム、吸っていた葉巻をかたわらに置いて言う】
ステンホルム「本当にそんな二重生活を望んでいるのか? お前のような女が?」
ジョシー「私が選んだ道だわ」
ステンホルム「それは間違いだ。お前に選択肢などない。俺のために働くだけだ!」
【そう言うと、ステンホルムはルビーの首を片手で絞め上げた。もう片方の手で、ナイフを持つジョシーの手を押さえつける。しかし、ジョシーはなんとか手を伸ばし、ステンホルムが置いた葉巻につかんだ。そしてその火を彼の眼に押し付ける。そのままステンホルムを壁に押し付け、ナイフを振りかざす】
アーヴィング「ジョシー、やめろ! ルビーが危ない!」
【そのときやって来たのはアーヴィングだった】
ジョシー「出て行って、アーヴィング! こいつは殺さなきゃ気が済まない!」
アーヴィング「行くんだ、ルビーを助けに。そのあとからでも、このゴミ野郎を始末する時間はある」
ジョシー「わかったわ。ボス、どこにも行かないでもらうわよ。すぐに戻る」
【ジョシーはナイフをステンホルムの手に突き刺し、壁に釘付けにした。その場を走り去るジョシー。アーヴィングは腕まくりしてステンホルムに話しかける】
アーヴィング「貴様はここにいるんだ。どうした? 俺のことがわかるか、ステンホルムよ?」
ステンホルム「ラ、ラインハルト!?」
ラインハルト「ビンゴ」
ステンホルム「やめ……やめろ! 待て、やめろおぉぉぉ!」
【ルビーとペックのもとに戻ってきたジョシー。背後からペックを羽交い絞めにするが、そのまま背負い投げされる。ペックはルビーを殴り、蹴り倒す】
ペック「いきなり出てきやがって、俺の言い分を聞く気はないのか? 俺にも抗議させろよ。うるさくて集中できないったらないぜ……」
【ペックはその場にあった大きな金属製のオブジェを持ち上げる。そして、倒れるルビーの頭部めがけて振り下ろした】
ジョシー「ルビー!」
ペック「これで五分五分だな、ジョシー。俺たちの間には、お互いに過ごしてきた過去があるよな。俺は、きみをここから連れ出す。そしたら子供たちと一緒におとなしくしてろよ、組織のごたごたが収まるまでな」
【ジョシーは落ちていた拳銃を拾い、ペックに狙いをつける。ペックはそれを意に介せず、ジョシーに詰めより、銃を持つ手を押さえつける】
ペック「そのあとは知ってるよな。俺はきみの家にまっすぐ行って、きみの愛する家族をひとりずつ殺してやる。お前も……」
ジョシー「させるか!」
【ジョシーはペックの手を振りほどき、彼の頭部を撃ち抜いた。と、そのとき義母の声が響き渡る】
義母「なんてこと、ジョセフィン! いったい……!?」
ジョシー「お義母さん? ここで何を?」
義母「あの男について来たのよ……なんてことでしょう、あいつがやったの? あの男のことは、戦時中から知っていたわ。危険な男……」
【義母はどうやらラインハルト(アーヴィング)のことを昔から知っているらしい。戸惑いながらジョシーに話す】
ジョシー「お義母さん、そのことはあとで話しましょう。今はここから出なくては。もうすぐ人が来ます。ここにはいられない。着替えを隠しています。急げばここを片付けてから、この場から逃げられる」
義母「え、ええ……でもラインハルトとあなたは一体……? あなたは何者なの?」
ジョシー「あとで話します。知りたいことも、知りたくないことも、質問すべきことも何もかも……」
【あとにはペックとルビー、そしてラインハルトに切り刻まれたステンホルムの死体が残されていた】
エピローグ
【青い制服を着たセールスレディが、ジョシーの家のドアを叩く】
ジョシー「はい、何か?」
セールスレディ「こんにちは、モリスと申します」
ジョシー「こんにちは、シュラーよ」
セールスレディ「シュラーさん、最後にお化粧なさったのはいつですか?」
【即座にドアを閉めるジョシー。部屋に戻ると、ジーンが話しかけてくる】
ジーン「誰だったんだい?」
ジョシー「エイボン化粧品のセールスレディよ」
ジーン「へえ、今の女性に人気なんだろ。きみもああいうのやってみたらどうだい?」
ジョシー「ああいうのって?」
ジーン「えーと、つまり自分で商売のやり方を考えて、自分自身で稼ぐってことさ。やりがいと自信にもなるじゃないか」
ジョシー「そうね、あなた、悪くない考えだわ。自分自身で働く……素晴らしいアイデアよ」
【微笑むジョシーの顔でEND。なぜジョシーの義母がラインハルトのことを知っていたのか、ラインハルトとステンホルムらの間に何があったのか、そしてジョシーはどうなるのか……などは続刊(予定)で語られるっぽいです】
Lady Killer #7
※『Lady Killer』は殺し屋兼主婦のジョシー(ジョセフィン)を主人公にしたアメリカンコミックスです。周囲に殺し屋の顔を隠しながら、良き妻・良き母として毎日の生活を送るジョシーの姿が描かれます。
【モノクロ画面に映るアニメーション映像。博覧会の解説をしている】
ナレーション「みんな見に来て、シアトル・ワールドフェア! 21世紀へようこそ。科学パビリオンでは火星へのロケット旅行へ行こう! 巨大コロシアムで信じられないほど素晴らしい都市を目にしましょう! 幸せに満ちた人々といっしょに、心踊る冒険の人生を!」
【博覧会の案内をするコンパニオン嬢たちが、その映像を見ている。リーダーらしきコンパニオンが、アルバイトのコンパニオンに言う】
コンパニオン「わかりましたか、皆さん。自分の配置につきましたら、とにかく笑顔を忘れないように。来られているゲストの方々に、世界に1つだけの忘れられない体験を提供しましょう。それから、科学パビリオンでは特に注意を払って、ミスなどしないように。ケネディ大統領のオープニングスピーチがフロリダ中に生中継されますからね」
【バイトのコンパニオン嬢の中に、ジョシーとルビーが混じっている】
ルビー「アーヴィングはもう位置についている。ペックとステンホルムは壇上にいるから、やつらの気を引いて」
※アーヴィングは前回のラストに登場した協力者の男性。
ジョシー「それは難しくないはず。あなたのところに連れて行くわ」
ルビー「気を付けて」
【それぞれの持ち場へと移動するコンパニオンたち。ジョシーは、スピーチがおこなわれているパビリオンの聴衆の中に紛れ込んだ】
スピーチの声「この手のフェアのオープニングは、宇宙時代の博覧と一緒に始まるものですね。文字通り、われわれは新たな海原に手が届いています。まだ見ぬ星にも、1万年前から届いていたラジオ波にも、このフェアの始まりにも」
【スピーチが行われている壇上には、ステンホルムとペックも列席している。その後ろには複数名のボディーガードが並んでいる。ジョシーはわざと壇上のペックに視線を送る】
スピーチの声「そのラジオ波は北の空のカシオペア座から届いています。この光の発している星が、平和で幸福な星であることを望みます……といっても、ここに届くまで1万年かかっているのですが。私は、このラジオ波がこのフェアを成功へと導くと確信しています。このシアトル・ワールドフェアは、さらなる科学的発展への扉を開くでしょう。信号を送るこの電鍵は、非常に重要な意味があるものです」
【ペックは、聴衆に混じるジョシーの姿に気が付き、ステンホルムに耳打ちする】
「今日までに、この電鍵は7代の大統領に使用されてきました。宇宙に信号を送ることが、シアトル・ワールドフェアの開催を成功させるだけでなく、全人類の平和と理解に満ちた新時代への扉を開いてくれるでしょう」
【ペックとボディーガードらが、あわただしく席を立つ。それを見たジョシーも、人込みをかき分けて走り出す】
ジョシー「お祭りの始まりね」
【と、その瞬間、声がかかる。見れば夫のジーンと双子の娘、義母だった】
ジョシー「ジーン!? ここで何を……」
ジーン「驚かそうと思ってね。子供たちに、ママが一生懸命働いているところも見せたかったし」
双子たち「ママ! パパがカートに乗っていいって!」
ジョシー「ああ、素晴らしいわ、あなた。でも……」
ジーン「わかってる、忙しいんだよね。そんなきみを誇らしく思うよ。女性が働くのはいいことさ、気持ちに張りが出る。引き留めてはおけないな。また数時間後にね」
ジョシー「ええ、それじゃ」
【急いでその場と立ち去るジョシー。そのあとを、ペックらが駆け抜ける。一方、ジョシーの義母は、来場客の人込みの中に、初老の男の顔を見つける】
ジーン「おい、危ないぞ!」
義母「まあ! あの男だわ!」
【義母の視線の先にいたのはアーヴィングだった。次回へ続く】
Lady Killer #6
※『Lady Killer』は殺し屋兼主婦のジョシー(ジョセフィン)を主人公にしたアメリカンコミックスです。周囲に殺し屋の顔を隠しながら、良き妻・良き母として毎日の生活を送るジョシーの姿が描かれます。
【前回からの続き。エディスへの電話を終えたジョシーに、ジーンが話しかける】
ジーン「帰って来ていたのかい? 車は?」
ジョシー「昨日の晩、言わなかった? カーショップに持っていったのよ。子供たちをバレエ教室に連れていくのに、あなたのトラックを借りたいんだけど」
ジーン「クラッチ入れるとき気を付けてくれよな?」
ジョシー「わかってる」
【双子を連れてジーンの軽トラックに乗るジョシー。そこへジーンが声をかける】
ジーン「ジョシー! ヘイ、ジョシー!」
ジョシー「何?」
ジーン「エディスが『あの車が動き出した』ってさ。何のことだい?」
ジョシー「何でもないのよ。彼女、なんにでも鼻をつっこむから」
ジーン「ああ、オーケー。じゃあ2人とも楽しんできて」
双子たち「行ってきます、パパ」
【トラックを急発進させるジョシー】
ジーン「ああもう、クラッチに気を付けてって言ったのに……」
双子たち「やったー、速い速い!」
【車内では双子たちが騒いでいる。猛スピードで走るジョシーの前に、ペックのスポーツカーが姿を見せた。そのあとをついて行くジョシー】
双子たち「去年のバーベキューのときのパパより速いね! でもこれパパには内緒ね。私たちだけの秘密にしとこう!」
双子たち「ママー、ここどこ?」
ジョシー「アイスクリーム食べたい人?」
【ペックは一軒の中華料理店へ入っていった。ジョシーらも店に入り、ペックに気づかれないよう、近くの席に座る】
中国人のウェイトレス「失礼ですが、ミスター。何か御用ですか? ここではかなり香辛料をきかせた中華料理しか提供していませんが」
ペック「遅れたのは謝るよ、サービス価格はまだ終わってないだろ?」
中国人のウェイトレス「先に連絡してよ。そしたらアンタに嫌味を言わなくて済むんだけど
ペック「おいおい、ルビー。仲良く遊ぼうぜ」
ルビー「もうこれ以上、アンタとは付き合わない」
ペック「俺にもきみにも、他に選択肢はないんだよ。俺はきみの借金を払ってやりたいだけだぞ」
ルビー「アンタ、本当にクソ野郎ね!」
【ルビーと呼ばれたウェイトレスとペックの会話を盗み聞きするジョシー】
双子「ママ、あの人、うんこって言った!」
ジョシー「シーッ! ジェーン、静かに」
中年のウェイトレス「ご注文は?」
ジョシー「アイスクリーム、3つ」
中年のウェイトレス「アイスクリームはないんだよ、すまないね。フォーチュンクッキーならあるんだけど」
ジョシー「いいわ、ならそれ1つとコーラ3つ」
中年のウェイトレス「ふん、アメリカ人か……」
【立ち去り際に愚痴る中年のウェイトレス。ジョシーは子供の前に置かれたお茶の湯呑みをわざとこぼす】
ジョシー「なんてことするの。ごめんなさい、私の娘が…」
双子の1人「私やってないよ!」
【テーブルを拭きに来たのはルビーだった。ジョシーは、テーブルのかげで彼女の脇腹にお箸を突き当て、ささやく】
ジョシー「静かに。あなたのことは知ってるわ。話したいことがある。今夜遅く、コルマン船着き場で待っていて」
【ジョシーはそのまま店を後にする】
ジョシー「行くわよ、2人とも。バレエの時間だわ。クッキーはあとからにしましょう」
【場面転換。真夜中、船着き場にジョシーがやって来る】
ルビー「ここよ。何の用なの?」
ジョシー「ジョシーよ。来てくれてありがとう。昼間はごめんなさい、ただ……」
【ルビーは聞く耳を持たず、いきなりジョシーの腹にひざ蹴りを食らわせる】
ルビー「何をしてほしいのかわからないけど……正体をしゃべってもらうわよ」
【うしろからジョシーを羽交い絞めにするルビー】
ジョシー「グッ! 私もあなたと同じエージェントよ。ステンホルムのもとで働いてきたけど、あいつは私を殺そうとしてる」
ルビー「それがどうしたっていうの?」
ジョシー「あなたがペックと話しているのを聞いたわ。組織から抜けたいんでしょう!? でもやつらはそれを許さない。私を助けなければ、次はあなたの番よ」
【ジョシーはルビーに肘鉄を食らわせ、腕を取って彼女を投げ飛ばす。そのまま彼女の腕を取り、関節を固めた】
ジョシー「あなたを傷つけたくない。決断しなさい」
ルビー「なら、その前に腕を離しさいよ」
ジョシー「いいわ。さあ、どうなの? あいつらを殺るの?」
ルビー「なんでもやってやるわよ。でも2つ、ハッキリさせておく。あなたからの命令は受けない。それとペックを殺すことになったら、あたしが殺すわ」
ジョシー「了解」
ルビー「それと、やつらを殺るなら助けがいるわね」
【場面転換。時間貸しで部屋を提供していると思しきアパート。管理人の老人男性が、苦労しながら階段を上っている。そのうしろにはカップルの男女がいる】
年老いた男「すまんな、お若いの。あちこち悪くなっていてな。どうか手伝ってくれんかね?」
若い男性「べつにいいさ、おやじさん」
【老人の手を取って、階段を上るのを手伝ってやる男性客】
年老いた男性「ありがとうよ。若いころは、2段飛ばしで何の問題もなく階段を上っていたもんだがなあ」
男性客「はいはい。で、そんときゃパン一斤が1ペニーだったんだろ」
女性客「時間がないのよ、ピーター。旦那は6時に帰ってくるんだってば」
男性客「大人しくしてろよ。時間通りには家に戻してやるよ。本当にこの部屋でいいのか、おやじさんよ」
【老人の案内のもと、男女は貸し部屋に入ってきた。しかし老人男性はふところからサイレンサー付きの拳銃を取り出す】
年老いた男性「ああ、間違いなくこの部屋だよ」
男性客「なん……!?」
【ためらうことなく発砲し、男女を殺害する老人男性。そのとき、部屋のトイレのドアがあき、中からルビーとジョシーが姿を現した】
ルビー「ハイ、アーヴィング。ちょっと時間ある?」
2015年の漫画、映画、ゲームなど振り返り
社長のみなさーん、年末ですよー。年末振り返り企画として、今年の漫画・映画・ゲームなどから特に良かったものをザックリ紹介。
映画『ジョン・ウィック』
2015年新作映画は『チャッピー』『キングスマン』などを観ましたが、この作品が一番面白かった。かつ、一番自分の趣味にマッチしてた。殺し屋がキレて全員ぶち殺すという単純明快なストーリーなのに、アクションのカッコよさ、シリアスかつ殺伐とした雰囲気、セリフの応酬のセンス、映像&演出の上手さで、作品全体の満足度を底上げしてる。あとまあ純粋に燃えるよね、引退した凄腕の殺し屋が復讐のために立ち上がって、かつての仲間の協力も得ながら巨大組織と対決するというプロットは。本名ジョン・ウィック、あだ名はブギーマン、またはバーバ・ヤガーってカッコよすぎか。続編も計画中らしいし、期待できる。
映画『マッドマックス 怒りのデスロード』
いい・悪いの価値観を超える作品がしばしば誕生しますが、2015年は『マッドマックス 怒りのデスロード』がそれでしょうな。最初から最後までハイスピード・ノンストップ・フルスロットルで、映画と言うか「体験」だった(っていうのは誰しも言ってるけど)。『ジョン・ウィック』と同じくらいストーリーはシンプルで、説明・解説も最小限。主役のセリフだって数えるくらいしかないのに、ビックリするくらい面白いっていうんだからワケがわからない。
ただひとつ言えることは、細部にいたるまで作り込みへの情熱度がハンパない。あらゆる小道具やちょっとしたセリフ、キャラの衣装や背景の映像が、マッドマックスの世界とキャラクターたちの心理を雄弁に物語っている。映画でしかできないこと、映画にしかできないことに、制作陣が真正面から本気で取り組んで・しかも成功させたという快作。
漫画『あもくん』(諸星大二郎)
みんな大好き諸星先生の現時点での最新作。角川から出てた幽COMICSのまとめ。父親である「私」と息子の「あもくん」、その周囲で起きる異質な出来事を描いた連作短編。ちょっとした違和感からゾッとするようなオチに導いていく諸星テイストは健在。いくつかユーモア風味の作品もありますが、基本的には現実と恐怖のはざまに落ち込んでいくような、足元のおぼつかない雰囲気を味わえます。結構むかしの作品の所収だけど、単行本化は今年初なのでやっぱり外せないよね。
漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル)
ツイッタのフォロワーさんがおススメしているので読んでみたら、近年まれに見る・なんとも形容しがたい異色作だった。舞台は開拓時代の北海道(蝦夷)。退役軍人&アイヌ少女とが、独立国家建設を狙う軍師団や死んでいなかった土方歳三らを相手に金塊争奪戦を繰り広げる、というのがストーリー。……なんだけど、実態は北海道の珍味を食いつくすジビエ料理漫画、かつアイヌ関連のトリビア紹介漫画としての描写のほうがインパクトあって、一種異様な面白さを醸し出している。スケールのデカい物語と、半径5メートルくらいの身近な話題が同居している感じ。
ヒロインの顔は時おり不細工になるし、実在人物をモデルにした奇怪なキャラが何の前触れもなく出てくるのも珍味のような味わいがある。ただ面白いだけではない、謎な作品。ぜひこのテイストを忘れずに突き進んでほしい。
漫画『衛府の七忍』山口貴由
『エグゾスカル零』を終えた若先生の最新作。天下泰平を推し進める徳川幕府と、その支配に虐げられるさまざまな「まつろわぬものたち」の復讐を描いた、死山血河の怨霊忍法残酷絵巻です。時代考証も現実味も笑って吹き飛ばすようなありえない描写が満載で、外連味のあふれる戦闘シーンと発想の狂った必殺技が満載。羽毛なみに命が軽い世界観で、すぐ殺す・すぐ死ぬ・すぐ内臓が出るんだけど、根っこのところがどこかテンションおかしいいので、とにかく愉快痛快に読めるのが良いですね。『覚悟のススメ』や『蛮勇引力』、『エグゾスカル零』と同じ名前の登場人物も出てくるので、山口貴由ファンであればあるほど楽しめます。
OVA『ジャスティス・リーグ:ゴッド&モンスター』
ジャスティス・リーグ:ゴッド&モンスター [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2015/09/09
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ブルース・ティム先生のプロデュースによるジャスティス・リーグのOVA。リブートというか、ほとんどエルスワールドもので、スーパーマンはゾッド将軍の息子、バットマンはカーク・ラングストロム博士(マンバット)、ワンダーウーマンはオリオンの恋人ベッカという改変っぷりが見どころの一作です。正史とは全然違っててかなりバイオレンスだし人もガンガン死ぬ(そのシーンもがっつり描写する)。っていうか、この3人だって悪人とあれば命を奪うこともためらわない。
そんな3人が直面するのは、高名な科学者たちの連続殺人事件。武力だけでは太刀打ちできない強大な敵と陰謀、そして自分自身の苦悩に直面した我らがビッグスリーは、果たしてこの危機をどう乗り越えるのか……? 作画は相変わらずの高クオリティーだし、ブルース・ティム絵の素晴らしさも健在なので、人を殺すヒーローに抵抗がない人は必見。本編とは関係ないけど、解説映像でブルース・ティムが「NEW52は期待したほどユニバースに変化をもたらさなかった」みたいなこと言ってて笑った。
ゲーム『ウィッチャー3 ワイルドハント』
ポーランド発、CD Projekt RED謹製のアクションRPG。自分はPS4版でやりました。ウィッチャーシリーズ今までやったことなかったんだけど、トレーラー見て「ええやん!」と思ったのね。で、買ってやってみたらこれがエライ面白くてびっくりした。主人公は特殊な能力を持つモンスターハンターのゲラルト。行方不明の恋人イェネファーと養女のシリを追ううち、世界の存続を脅かす強大な敵と対峙するはめに……というのがおおまかな物語です。
とにかくストーリーと世界観、キャラクターが見事にマッチしていて、どっぷり浸かれます。シリーズ初心者でもゼロから楽しめるよう、ところどころで重要なキーワードは説明してくれる(質問できる)のがよかったんだと思う。ゲラルトはいわゆる「しゃべる主人公」なんだけど、こういうユーザーフレンドリーさがあったので、しっかり感情移入できた。『ラスト・オブ・アス』以来といってもいい。小道具の作り込み、軽妙かつユーモアあふれるセリフの応酬、ハッピーエンドや単なるお使いに終始しないサブクエストの数々など、本当の意味で何度も楽しめる一作。
戦闘がやや単調なのと、インベントリ周りのUIの煩雑さがちょっとだけマイナスだけど、全体の完成度は非常に高いです。最後のDLC『血塗られた美酒』が2016年に発売予定なのでこちらも期待。あとスパイクチュンソフトによる日本語版ローカライズのクオリティーにも拍手。ほとんど洋ゲーと意識せずに楽しめます。ゼニマックスアジアも見習えよな。
ゲーム『FallOut 4』
Fallout 4 (特典【Fallout 3ご利用DLコード】&【"Vault-Tec Perk"限定ポスター】 同梱)
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で、今年最後に買ったゲーム。『FallOut 3』からは8年、『FallOut: New Vegas』から5年を経て登場したシリーズ最新作です。核戦争後のボストンを舞台に、200年の冷凍睡眠から目覚めた主人公が、奪われた息子を探して放浪しまくるオープンワールドRPG。もちろんシリーズの特徴といえる自由度は変わらずで、メインストーリーを追うもよし、各地のロケーションで強力な武器を探しまくるのもよし、サブクエストしながら仲間とのロマンスを育むのもよしです。
おまけに今回はこれまで単なる無駄アイテムだったJUNK品を使って、武器改造と拠点開発までできる。拠点開発の自由度がかなり高くて、巨大アパートの建築、ライトボックスを使った看板設置、販売店や医療スペースの設置、自動タレットやトラップを使ったモンスター対策設備設置までできる。もちろんやらなくてもいいんだけど、荒廃したボストンを少しでも復興できるとなれば、やってしまうんだよなあ。主人公にフルボイスがついたことで完全なロールプレイはやりにくくなったけど、その分、演出やコンパニオンキャラとのやり取りが濃密になったのは前向きに評価したい。
あと、プレイしてすごく思うのが「もはや戦後ではない」ってこと。FallOut 3やNVでは、まだ核戦争の爪痕が色濃く残っていたけど、今作には「過去を振り返るのはやめて、いま・この世界で生きていこう」という雰囲気がそこかしこに感じられる。過去作では見られなかった青い空と、拠点開発というプレイングが、まさにその象徴じゃないかしら。バグや日本語版ローカライズの微妙さなどでマイナス点もあるし、不親切な面も見え隠れするけど、それを吹き飛ばすほどの魅力があるのは間違いない。あれこれDLCも出るだろうし、2016年の半年は遊べそう。
と、いう感じの1年間でした。今年も楽しい漫画、映画、ゲームをありがとうございました。制作者さんたちに感謝&ラヴ。来年も面白いものに出会えますように。それでは皆さま、よいお年を。