ゾンビ屋れい子
ふたたびのホラー特集。今週までやります。
今回は三家本礼(みかもと れい、と読みます)『ゾンビ屋れい子』。
無粋なジャンル分けをするなら、いわゆるひとつのスプラッタ・ホラー。
全体的に血とか内臓とか、多いです。
死者をゾンビとしてよみがえらせることができる姫園れい子が、
彼女は「ゾンビ屋」として、怪しい依頼をこなしたり、
またときには危険な事件に巻き込まれたりしていく……。
というのは1巻まで。
2巻からは、いきなりジョジョ風の血みどろバトルアクションが始まります。
何を言っているのかわからねーと思うが(ry
よーするにですね、死者をよみがえらせる能力(ゾンビ化)に加えて、
いろんな危ないゾンビを召喚させる能力が登場するのです。
それも主人公だけじゃなくて、もう雨後のタケノコのごとくポンポンと。
中世の騎士やら西部のガンマンやらならまだしも、
戦闘機&操縦士や巨大アナコンダや、化け猫、ジュラ紀の翼竜まで。
これが「僕の考えたスタンド」でなくて何だっていう。
でもね、不思議とオマージュとかパクリとかいう感覚はないです。
っていうか作品のテンションが違いすぎて、そんな問題は瑣末なものに思える。
『ゾンビ屋れい子』の最大の魅力は何でしょうか?
それは恐ろしいまでのB級感です。
凄惨過ぎていっそ清々しいスプラッタ描写、
綿毛より軽い人命、ノリと勢いで解決する戦闘、
かと思えば頭脳戦やだまし合いのシーンでは妙にコマ数が割かれてたり。
主人公は巨乳の美少女で、悪役は誰が見てもわかるくらいの悪役。
裏切りそうなやつは大概裏切るし、裏切ったらやっぱり最後は殺される。
元敵側のキャラが主人公をかばって死んだら主人公が仇打ち、みたいな
安っぽい友情(ここではホメ言葉)も当然のように完備。
「え、何それ聞いてないw」みたいなぶっ飛び設定もあるし、
強引な力技によるハッピーエンドだってあります。
それでいい。そ れ が いい。
世の中にはコーラ片手にポテチを食みつつ、
「だははは、めっちゃ頭もげてるやん。つか死ぬ、死ぬだろこれw」などと
ゲラゲラ笑いながら鑑賞するべき類の作品が確かにあるんです。
その作品の前では、小難しいこと考えずに
頭カラッポにすることこそが礼儀だと思えるような、俗なる楽しみ。
『ゾンビ屋れい子』はゾンビ漫画でそれを実現した、と俺は解釈した。
とにかく血みどろが苦手でないなら、ホラーファンは読んで損しないです。
良質のB級ホラー映画を観たような、心地よい爽快感を味わえます。
なんかホラー特集っぽくないけど、ま、これもホラーやが。